中国では少子高齢化が急速に進む中、年金保険制度の持続可能性が大きな課題となっている。しかし、年金資金の流用や不正取得が後を絶たない。近日、中国国家審計署が「2024年度中央予算執行及びその他の財政収支に関する監査報告」(以下、「報告」)を公表し、関連する事例を明らかにした。25省の企業従業員、公務員、都市・農村住民の基本养老保険基金4.14兆元を監査した結果、601億元(約8170億円)を流用された問題が発覚した。
「報告」によると、13省政府が計4062.6億元の都市・農村住民养老保険基金を、「三保」(給与の確保、行政運営の維持、基本民生の保障)支出や政府債務の返済などに流用していた。「三保」は年金を含む基本民生を保障する重要な支出項目であり、財政部予算司の王建凡司長は2022年6月、地方財政が逼迫する中、学校教師などの給与や年金などの優先支給を強調していた。それにもかかわらず、最も低額な都市・農村住民年金が流用されたことは、地方の債務返済や給与支払いの厳しい状況を浮き彫りにしている。
年金流用は地方政府の間で頻発している。2017年には、福建省の党委員会巡視組が、晋江市が养老保障資金の一部を都市再開発や財政周転などに流用し、総額25億元(約500億円)以上が流用されたことを発見した。2017年には、福建省の党委員会巡視組が、晋江市が养老保障資金の一部を都市再開発や財政周転などに流用し、総額25億元(約500億円)以上が流用されたことを発見した。
年金は高齢者の生活を支える重要な資金であり、その流用は社会保障制度の信頼性を揺るがす重大な問題である。少子高齢化が進む中国において、年金制度の健全な運営と資金の適切な管理が急務となっている。
(中国経済新聞)