ドイツのスポーツブランド・アディダスは4月29日、2025年第1四半期の決算を発表した。全世界の売上高は前年同期より13%増えて61.53億ユーロ、営業利益は同じく3.36億ユーロ、率にして82%増えて6.1億ユーロであり、利益率も0.9ポイント伸びて52.1%となった。
アディダスはまた、中国市場でも売上高が前年比13%増の10.29億ユーロで8期連続のプラスとなり、低迷期をほぼ脱したようである。
中国での業績好転について市場関係者は、ここ2、3年のローカライズへの取り組みが功を奏していると見ている。

アディダス大中華圏のトップである蕭家楽氏は、地の利や運など条件がそろった結果だと見ており、中国の好調も同じく消費全体が変化してスポーツ関連の支出が増えているためという。蕭氏は先ごろ「フォーチュン」の取材に対し、「マラソン大会は、10年ないし5年前は知り合いに頼み込んでどうにか参加枠を埋める状態だったが、今は人気の大会は参加するのに当選率が宝くじ並みになっている」と話した。
蕭氏はまた中国市場について、まだ掘り起こしの余地があると見ている。この点について、スポーツ市場が安定している欧米各国と比べると、人口は中国に劣るがスポーツ関連の消費額ははるかに上回っているという事実を挙げた。「消費の格上げは行動だけでなく考え方でもあり、スポーツも細かく切り分けられて、分野によってそれぞれ別のシューズが必要なのはもはや常識だ」と述べている。
アディダスはまた中国での取り組みとして、若手エリート選手の発掘に努めている。今年3月にはパリオリンピックの競泳金メダリストである潘展楽選手をイメージキャラクターに起用すると発表した。これについては、「トップアスリートとタッグを組むのは単にキャラクター効果のためではない。かねてから有望な若手アスリートの発掘に努めており、選手の成長や実力向上を支え、中国のバレーボールやテニス、陸上などの協会と長期提携をすることで、北京マラソンや上海ハーフマラソンなどの大衆スポーツ大会の支援も果たしている」とのことである。

アディダスのガルデンCEOは第1四半期の業績について、「すべての地域やチャネルで2桁成長となった。6.1億ユーロという営業利益と9.9%というの営業利益率に十分な期待感が示されている」と評価した。また今回の決算発表会で、「アメリカが各国や地域への関税率を増額し、その成り行きも絶えず変化していることから、今年の業績が不透明になってくる」とも述べている。
(中国経済新聞)