中国「国家チーム」が市場安定化へ強力なシグナルを発信

2025/04/9 10:04

米国トランプ大統領が中国に対して50%の追加関税を課すと発表し、グローバル市場が大きく動揺する中、中国政府は迅速に対応し、国内資本市場の安定化に向けた強力なシグナルを発信した。中国の「国家チーム」が市場支援に乗り出し、国内外に中国経済の強靭さを示す姿勢を見せている。

4月8日の証券取引所の開場前、中国の中央匯金公司は声明を発表し、市場安定化のための「平準基金」としての役割を果たすと表明した。同社はETF(上場投資信託)および優良株の増持を積極的に進め、市場への信頼感を高める方針を示した。また、中国人民銀行(中央銀行)は、必要に応じて中央匯金公司に対して十分な再貸付支援を提供すると発表し、資金面での強力な裏付けを約束した。

同日、国家金融監督管理総局および国務院国有資産監督管理委員会も相次いで株式市場の安定化に向けた一連の政策を打ち出した。過去2日間、中央企業(国有企業)は、中央企業および科学技術イノベーション関連の株式を大規模に増持する計画を次々と発表。香港の『南華早報』はアナリストのコメントを引用し、「これは全面的な資金支援行動だ」と報じた。

こうした一連の政策の効果は即座に現れ、8日の中国A株市場は終値時点で三大指数(上海総合指数、深セン成分指数、創業板指数)がすべて上昇し、市場は「全面的な赤字回復」を記録した。投資家心理の改善とともに、中国政府の迅速な対応が市場の信頼回復に寄与した形だ。

この動きの前日、米国トランプ大統領は中国に対して「50%の追加関税」を課す新たな脅しを発していた。これに対し、中国商務部の報道官は8日、「もし米国が独断的な行動を続けるならば、中国は最後まで立ち向かう」と述べ、毅然とした態度を示した。米国ケーブルニュースネットワーク(CNN)は同日、「過去数日間、中国は国内外に対して明確なメッセージを発信している。中国は貿易戦争に耐える準備ができており、さらなる強さを増すだろう」と報じた。

中国は、米国の一方的行動がグローバル経済に与える悪影響を強く懸念している。報道官は、米国の関税政策が世界貿易機関(WTO)のルールを損ない、国際経済秩序を混乱させると批判。こうした状況下で、中国は自国の経済を守るだけでなく、グローバルな経済安定にも貢献する姿勢を強調している。

8日午後、李強国務院総理は、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と電話会談を行い、現在の国際情勢について意見交換した。李強総理は、「中国と欧州は経済グローバル化と貿易自由化の推進者であり、WTOのルールを断固として守る支持者です。双方はコミュニケーションと協調を強化し、相互開放を拡大し、自由で開かれた貿易・投資環境を共に維持する必要があります。グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定と円滑さを確保し、双方および世界経済にさらなる安定性と確実性をもたらすべきです」と述べた。

この発言は、米国の一方的行動に対抗し、欧州との協力を通じて多国間主義と自由貿易の重要性を再確認する中国の姿勢を示している。グローバル経済が不確実性に直面する中、中国は欧州との連携を強化し、国際経済秩序の安定化に努める意向だ。

米国による関税引き上げの脅威に対し、中国は「国家チーム」の迅速な対応を通じて、国内市場の安定化を図るとともに、国際社会に対して自国の経済強靭さと貿易戦争への準備を明確に示した。A株市場の上昇は、こうした政策が一定の成果を上げていることを物語っている。一方で、中国は欧州との対話を通じて、自由貿易と多国間主義の重要性を訴え、グローバル経済の安定に向けた責任ある大国としての役割を強調している。

今後、米中間の貿易摩擦がどのように展開するかは依然として不透明だが、中国は自国の経済を守りつつ、国際社会との協力を深めることで、さらなる挑戦に立ち向かう決意を示している。

(中国経済新聞)