上場会社が続々と2024年の業績速報を発表している中国で、自動車関連会社の経営状態が鮮明になっている。同花順によると、3月5日現在、申銀万国証券の業種分類における自動車業界で計37社が業績速報を発表しており、このうち7割以上にあたる27社(黒字転換も含む)で純利益が増加している。部品関連の利益が大きく伸びたこと、国内外で引き続き市場開拓が進んだこと、またコスト削減・効率アップ、輸出の増加などがその要因であり、特に海外事業が好調となっている。
純利益が大幅に増えた会社が多数存在する中、同花順によると、前年比増加割合が最も高かったのがベアリングを手掛ける泰徳股份で、200%以上であった。このほか徳衆汽車、航天智造、九号公司、林泰新材、捷衆科技などが50%以上増えている。これらを品目別に見ると、シャーシやエンジン関連、ボディーの付属品や装飾品、電気系統などが特に利益を伸ばしている。
泰徳股份の2024年の業績速報によると、売上高は前年比25.01%増の3.45億元で、会社帰属の純利益は219.90%増の2521.51万元、うち営業外損益を除いた分は221.68%増の2494.61万元となっている。
利益が大きく伸びた理由について同社は、「生産管理をきめ細かくして効率を引き上げ、単位当たりの製造費を削減したことで生産コストも下がった」と表明している。また、市場開拓や新製品の開発、投入、顧客満足度の向上にも力を入れ、各製品の販売量が伸びているといい、中でもアフターマーケットの製品が販売、売上高ともにかなり好調で、粗利益の増加につながっているという。

また徳衆汽車は、市場の変化や自動車メーカーによる販売店への支援制度拡充を受けて黒字転換を果たした。2024年は、売上高は前年比9.04%減の23.59億元であったが、会社帰属の純利益は同134.44%増の600.63万元、うち営業外損益を除いた分は100.88%増の20.16万元であった。
航天智造は3月3日夜に2024年の業績速報を発表し、売上高は前年比32.78%増の77.81億元で、株主帰属の純利益は同86.77%増の7.91億元、うち営業外損益を除いた分は212.83%増の7.14億元であった。
航天智造は、「2024年は部品関連が好調で全体の売上増に大きく貢献した。また、きめ細かい管理や技術のレベルアップを施して、コストを抑制し、付加価値のある製品の割合が増えた。これにより前年をかなり上回る結果を残した」と表明している。
利益を伸ばしている会社が多い自動車業界では、海外市場の開拓が取り組みの柱になっている。カーオーディオを手掛けている「上声電子」は、売上高が前年比18.88%増の27億6562.87万元で、会社帰属の純利益は同48.56%増の2億3620.03万元であった。2024年は国内外で車の販売台数が安定し、スマート化により車内設備へのニーズも高まったことで得意先への販売量や売上が増えたほか、海外でも市場開拓を進めて需要がじわり上昇し、輸出も増えたという。
中国自動車流通協会の乗用車市場情報連席分会(乗連会)によると、2024年1年間の輸出台数は23%増の641万台で、内訳は新エネ車が12%増の201万台、エンジン車が26%増の440万台であった。好調だった理由について乗連会は、「中国は、海外でここ2年ほど続いている半導体不足の影響をあまり受けておらず、逆に輸出が一段と好調になって国際市場における品不足を補い、好機を獲得した形になっている」と見ている。
(中国経済新聞)