中国からベトナムへの生産シフトが鮮明に

2022/05/24 16:33

中国は今年に入り、コロナ対策の影響でサプライチェーンが乱れている。その一方で、ASEANが経済活動を急速に再開していることから、アパレルや家具などで、中国に代わりベトナムなど東南アジアからの輸出が増えている。アメリカの2021年4月から2022年1月の輸入データを見ると、中国に発注していた製品のうち、繊維類のおよそ5%、家具の7%、機械類の2%がベトナムなどASEAN各国に移っている。

ベトナムは3月以降、工業が急速に回復している。ベトナム統計局によると、工業生産は2022年2-4月にかけて好調を維持し、伸び率がほぼコロナ前のレベルに戻っている。このため、中国企業や中国の外資系企業がベトナム進出を有望視するようになっている。

ここ数年続いている中国からベトナムへの生産シフトは、米中貿易摩擦やコロナの影響で一段と加速している。シフトの対象となる業種を見ると、これまでの軽工業(アパレル、家具など)から機械類に変わっている。その背景として中国企業の生産体制の見直しもあるが、大手外国企業が産業チェーンの立て直しを進めており、中国の輸出構成や経済に影響が生じることもあり得る。

中国からベトナムへのシフトについて業種別に見ると、まず繊維業界が挙げられ、アメリカの2010-2019年の輸入データでは、繊維製品の6%、靴・帽子類の15%前後がベトナムに移っている。

次は木材や家具類で、米中貿易摩擦の影響を受けた中国企業の動きを受け、2009-2019年に家具製品の約6%、木材の約2.5%がシフトしている。

その次がデジタル関連で、2018-2021年に安価な組み立て分など約4%がシフトし、この傾向はなお続いている。

中国は3月以降、コロナ規制により工業生産が落ち込んでいる。このため、3月のアメリカの各種輸入品のうち中国からの割合が、繊維品は2021年9月より10.0ポイント下がって23.3%、靴・帽子類は6.3ポイント下がって48.0%となっている。一方でベトナムからの輸入割合は、繊維が同じく3.1ポイント、靴・帽子類が5.0ポイント増えており、輸出元のシフトが鮮明になっている様子が分かる。

こうした影響を受ける中国は、輸出の伸び率が第二四半期は4ポイント、第三四半期は2ポイント下がると見られる。さらに長期的に見ると、大国のせめぎ合いや産業チェーンの見直しによる中国から東南アジアへのシフトが止まらず、中国の輸出構成が揺らいでいく可能性もある。

(中国経済新聞)