スイスの食品大手ネスレは3月3日、中国事業のさらなるテコ入れ策として、菓子メーカー「徐福記」の株式40%を追加取得することで創業者の徐氏一族と合意に達したと発表した。
台湾の徐氏四兄弟が1992年に設立した徐福記は、広東省東莞の工場を主な生産拠点とし、キャンデー、おこし菓子、チョコレートなどの生産や販売を手掛けている。同社ホームページによると、支店8か所、リージョン58か所、代理店3500か所以上、小売り店200万店以上を有しているほか、大規模で近代的な生産ラインを39本、高品質な自動化生産ラインを127 本設けているという。

徐福記は2006年12月6日にシンガポールで上場したが、2011年にネスレが17億ドルで株式60%を取得して筆頭株主となり、「徐福記」ブランドの各商品に対し原材料、研究開発、品質管理など技術面やマーケットへの支援を始め、同時に徐福記は上場を廃止した。

徐福記は、「成長目標の実現に向け、今回の取引を通じてネスレの世界的なブランド性や商品リソースを広範囲かつ速やかに手に入れる」と発表している。ネスレもまた、強力な販売ネットワークなど徐福記のメリットを生かして国内の間食類やお菓子の事業を伸ばせるという。ネスレは、業界全体がやや低迷期に入った中国で産業チェーンの整備がより鮮明になった徐福記を完全買収することで、研究開発やデジタル化への投資といった面でプラスになり、徐福記も今後の成長が期待できそうである。

ネスレは1866年設立で、スイスのヴヴェに本社を構える。中国へは40年近く前に進出しており、現在は工場23か所、商品開発センター5か所、研究開発センター3か所を有し、社員数は2.1万人以上となっている。2024年は大中華圏での売上高が前年比2.1%増の403億元であった。
(中国経済新聞)