アストラゼネカ、1.6億ドルでファイブロジェンの中国事業を買収

2025/02/21 18:00

アストラゼネカは2月20日、アメリカのバイオ医薬品会社・ファイブロジェンの中国事業を約1.6億ドルで買収することで合意したと発表した。

アストラゼネカは2023年12月にも中国事業の買収をしているが、この時は中国現地のベンチャー製薬会社であった。

ファイブロジェンは今回、契約により会社の時価8500万ドル、および買収実行時に中国で所有している現金約7500万ドル、合わせて約1.6億ドルを手に入れる。この取引は、中国当局の審査など通常の取引条件なども考案した上で2025年半ばに完了する見込みである。

アストラゼネカは今回の買収で、ファイブロジェンの主力製品で慢性腎臓病による貧血の治療薬「ロキサデュスタット」に関する中国でのすべてのライセンスを獲得する。ただしアメリカや、アステラスにライセンス付与をしていない国などのライセンスは引き続きファイブロジェンのものとなる。

ロキサデュスタットは元々、アストラゼネカが手掛けたものである。

ロキサデュスタットは、ファイブロジェン中国法人とアストラゼネカが共同開発した中国1類の新薬で、低酸素誘導因子(HIF)の調節酵素であるHIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)を阻害する世界初の服用薬として、2018年12月に中国で発売された。中国ではこれまで、海外製薬大手の新薬は欧米で認可されたものを輸入する形だったが、ロキサデュスタットは今回初めて中国での先行発売となった。

アストラゼネカは今回の買収以前に、中国での実用化や普及を目指す形でロキサデュスタットを扱っていたのである。

ロキサデュスタットは中国で販売好調であり、2023年の売上高は2.84億ドル(約20億元)であった。ただし「特許問題」に見舞われており、カプセル状のジェネリックが2024年7月に石薬集団の発売許可を取得し、その後同じく複数のタイプで発売申請が受理されている。

よってアストラゼネカは、このカプセル薬の販売時期を遅らせる策を講じなくてはならない。

ファイブロジェン中国法人のロキサデュスタットはまだ新たな適応症を開発中で、化学療法に伴う貧血の治療薬としての発売申請が中国の薬事当局に受理されている。

アストラゼネカ中国法人の林驍総経理は、「今回の買収で、既存の各種医薬品との組み合わせが一段と充実化したほか、中国の医薬市場への投資も広がった。ロキサデュスタットが化学療法に伴う貧血の治療薬として2025年初めに認可されることを願う」と述べている。

(中国経済新聞)