DeepSeekの天才少女、雷軍氏よりオファー 「年俸2億円超」を提示 

2025/02/8 07:30

AI大規模言語モデル(LLM)・DeepSeekが中国から世界各地に広まったこの春節の前、「(スマホメーカー・シャオミのトップ)雷軍氏が年俸1000万元超(2億円超)で1995年以降生まれの天才AI少女をスカウト」との知らせがテック業界に伝わった。DeepSeek-V2の中心開発者の1人である羅福莉さんのことである。

DeepSeek-V2は2024年5月に、スタッフをブレイクさせるためにAI業界へ価格競争を仕掛けると発表した。羅さんなどを中心とするDeepSeekのメンバーは、中国本土の大学在学中または大学院の修士課程、博士課程卒1年目などがずらり揃い、平均年齢30歳未満と非常に若い。

DeepSeekのチームメンバー (deepseek AIより生成された画像)

羅さんも北京大学に推薦入学し、大学院卒業後にアリババの最高レベル組織であるDAMOアカデミー(達摩院)に入り、後に「東洋の神秘の力」と言われるDeepSeekに転職するという、華々しい経歴の持ち主だ。そして今回、雷氏からのオファーを受け入れてシャオミのLLM部門で責任者を務めることになるかもしれない。

羅さんは自分自身に対する評価として、「コンピューターについては間違いなく出遅れた存在だった」と語っている。四川省の小さな農村に生まれ、両親とも普通の農家であり、家計も裕福でなかった。しかし幸いにも、親は決して仕事に手を抜くことはない殊勝な存在だった。後に父親は電気技師に、母親は教員になって、暮らしも徐々に豊かになった。

娘の羅さんはこうした経験から、頑張ろうという気持ちがあれば生活は大きく変えることができるという人生観が育まれた。「努力すれば報われる」という自信が学生時代を支えたのである。

羅福莉さん

学業成績の方は、小中学校、、高校、そして大学の最初の2年間まで人並みであった。しかし父親はいつも、「1学期ごとにいくつか順位が上がればいい。次の学期でまたいくつか上になれば」と励ましてくれた。ゴールにたどり着いた時には、いつの間にかトップクラスになっていた。

受験の末、北京師範大学電子学科に入学した羅さんは、2年生の時に「コンピューター学科に北京大学大学院への推薦枠がある」と聞き、転籍した。人生初の大きな進路変更である。当時の学業成績はクラスの中でも中の下という状態で、基礎が弱く、隣のクラスメートが数分間で解けるコーディングの問題に数時間かけることもあった。歩みは遅かったが、これこそより「ふさわしい」進路なのだと認識した。

3年生になった羅さんは、自己推薦で北京大学コンピューター学科のゼミで実習を始めた。10人のメンバーで他の9人はみな北京大学の学部生または院生の男子だった中、「Pythonでさえわからない」という状態から、4か月後に自然言語処理に関する一流論文を書き上げた。羅さんはその日のことを覚えており、旧正月の15日目で、投稿してからベッドに横たわり涙をこぼしたという。重圧から解放されたことによるものだった。

シャオミは2016年にミレーAI研究所を設立して以来、チーム規模は約250人に拡大し、研究方向は視覚、音響、音声、自然言語処理、ナレッジグラフ、機械学習など様々な分野をカバーしている。 公開情報によると、シャオミは2023年にビッグモデル専門チームを設立し、栾剑さんを責任者に任命し、羅福莉さんの加入は、シャオミのAIビッグモデル分野での発展をさらに後押しし、同分野での競争力を強化すると期待されている。

(中国経済新聞)