アリババ、日本へ進出 「第2のタオバオ」目指す

2024/12/16 14:30

2024年10月8日、中国の電子商取引(EC)最大手のアリババグループが、「日本版タオバオ」とも言うべき通販サイト「TAO」を立ち上げ、リリースした。2022年にスペインでリリースしたMiraviaに次ぐ、海外での地元向けEコマースAPPとなる。ページデザインや言語、ショッピングフローがいずれも日本のユーザー向けに作られているというTAOは、アリババが2023年3月に実施した「1+6+N」という改革に伴って設立した主力6事業会社の1つであるアリババインターナショナルからリリースされ、タオバオシンガポールEコマースが運営を担っている。

TAOは、これまでのようなひたすら拡大を狙う方式はとらず、リリースから2か月間は大規模なプロモーションや業者誘致をせずにほぼトライアルや試行の段階としている。主な取扱品はアパレル、家具、雑貨などで、中国から出荷し、品目はおよそ300万種類あり、40日間は無料で返品を受け付ける。また初回注文も送料免除とし、2回目以降も購入時代金が3500円以上の場合は送料込みとするとPRしている。日本人の好みに合わせたページデザインとすべく、著名なWebデザイナーのRyoji Tanaka氏を起用し、決済方法も日本でよく使われるPayPayを導入した上、配送も大手のヤマト運輸や佐川急便によりスピーディーで的確なものとしている。こうした取り組みは、現地での定着を狙う決意の表れである。

アリババの日本での通販事業としては、2010年にもソフトバンクと提携して「タオジャパン」を開設したが、物流コストや翻訳の不備といった問題で、2年後に終了してしまった。しかし現在は、Eコマースのインフラが世界規模で整い、日本でもオンラインショッピングが定着しつつあり、SHEINやTEMUなどの国外進出サイトも急速に利用が増えて、Eコマース市場の潜在力が如実に示されている。日本ではEコマースの普及率がさほど高くなく、買い物も割と控えめであるが、TAOはこれを逆手にとって差別化戦略やきめ細かな運営を目指すことになる。

TAO はまたマクロ的に見ても、アリババのグローバル化戦略における要の一歩と言える。タオバオはTAO以外でも、「海外モデル」により各国へと中国品を送り出しており、半委託式でインフラ面を支え、世界的にユーザーを開拓している。アリババは海外で、SHEIN、TEMUなどの競合社を見据え、新しいアプリやローカライズ戦略を通じて、全世界を相手にした通販形態を作り上げようとしている。

(中国経済新聞)