中国、エヌビディアを独禁法違反の疑いで調査

2024/12/13 18:00

米半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)は、「中華人民共和国独占禁止法」及び「市場監督管理総局による条件つきでのエヌビディアによるメラノックステクノロジーズの株式買収案許可に関する独占禁止法審査決定公告」(以下「公告」)に違反したとして、中国市場監督管理総局より調査を受けることになった。

この「公告」は2020年4月16日に発表されたものであり、エヌビディアによるメラノックステクノロジーズ(Mellanox Technologies、以下「MLNX」)の買収について、

  • エヌビディアのGPUアクセレレータやMLNXの高速ネットワーク接続機器を中国で販売する際、抱き合わせ販売を強要したり、不合理な取引条件を追加したりしてはならない。
  • またこれらの製品について、単独での購入や利用を禁止したり制限したりしてはならない。
  • これらの製品を単独で購入する場合、サービスレベルや価格、ソフトウェアの機能などについて購入先に応じた格差を設けてはならない。

など、計7項目の内容を満たすことを条件に許可が下されていた。

MLNXは、1999年にイスラエルで設立され、ネットワーク接続機器の開発や生産、販売を手掛けている。エヌビディアは、2019年3月にMLNXの株式を全額買収することで両者合意しており、2020年4月に中国政府の許可を得て69億ドル(約1.04兆円)で買収を果たし、「NIC」市場に本格参入したと発表した。GPUの会社からデータセンターの会社へ方向転換を始めたのである。

エヌビディアは、今回の独禁法調査による中国での販売や事業への影響の程度は今のところ定かではない。中国政府は調査が終了次第、制裁金を科したり、あるいは法に基づき買収の中止を命じたりする可能性もる。

エヌビディアは10月29日までの3か月間、中国本土および香港での売上高が世界全体のおよそ17.9%となる54.1億ドル(約8200億円)となり、中国はアメリカ、シンガポールに次ぐ3番目の市場となっている。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは先月香港を訪れ、「政治的情勢は悪化しているが、中国本土での事業は継続する」と約束した。また香港科技大学で名誉博士の称号を取得した際も、中国はAIの活用が優れていると高く評価していた。 外国の有名テクノロジー会社に対する中国の独禁法調査の前例を見ると、2013年、米半導体大手のQualcomm(クアルコム)の子会社に対し、無線通信規格について不当な料金徴収や市場の地位を乱用していると認定した。クアルコムは後に、単一会社に対する制裁金額としては中国で当時過去最高となる60.88億元(約1272億円)を支払うことで同意している。

(中国経済新聞)