中国、人型ロボットのメーカーは80社以上

2024/12/3 07:30

中国の高工機器人産業研究所が今日発表した「人型ロボット産業地図(2024)」によると、中国の人型ロボット業界は今年1~10月、概算で少なくとも55件の融資を受けたという。

さらに整理すると、今年は11月の5件も加えて計60件以上の融資が発生している。これらのうち金額や数量が明らかになっているものについて、1億元以上のものが22件あり、対象先は光鑑科技、星動紀元(Robot Era)、宇樹科技(Unitree Robotics)、本末科技(Direct Drive Technology)、帕西尼感知科技(PaXini Tech)、銀河通用(Galbot)、逐際動力(LimX Dynamics)、星海図などとなっている。

人型ロボットを手掛ける企業の数について、国家地方共建人型機器人創新中心の許彬総経理が年次総会で、「2024年時点で、汎用種のメーカーは国内外合わせて約150社あり、中国は80社以上でうち半数が大学生や教員が立ち上げたもの」と述べた。また中国は、人型ロボットに関する2023年までの特許出願数が国別で最多の6618件となっている。

また、これら各社の地域別分布割合について、「人型ロボット産業地図(2024)」によると、深センが22.4%、北京が14.5%、上海が11.8%、杭州が5.8%、蘇州が5.5%となっている。高工機器人は生産台数について、2034年には年間100万台に到達すると見ている。

ただし、これだけ人気が高まる中で解決すべき問題も山積みである。人型ロボットは産業チェーンが特に込み入っており、各種のハードウェアやソフトウェア、アルゴリズムに関わっている。江玉華(Jiang Yuhua)氏は、「人型ロボットの主なハードウェアは、環境検知や動作の実行といった面も含めて発展期から安定期に置かれているものが多く、BMI、電子スキン、 6 次元や3次元の触覚センサーなどは開始段階から発展期にあり、完全に安定期に入った主要ハードウェアはない」と説明している。

こうした状況で、ハードウェアの標準化でサプライチェーンや開発の効率アップやコスト削減に向けてメーカー間で足並みをそろえる動きが見られない。またアルゴリズムにおけるルートの違いの解決に向けて、業界全体で努力しロボットの知能の向上を果たすような取り組みもない。さらにはデータも様々な場面でバラバラであり、どういったデータをどのように集めるか、各社とも最善案を打ち出せないでいる。業界は今、「乱れ」という注記が必要な状態に置かれている。

方婷婷氏は、「人型ロボットは部品が統合されておらず、現場の問題点が解消していない中でコストダウンに走っている。各社でパターンが多く、取り組み方も違い、業界内でしっかりした基準もなく、『乱れ』が多発している」と述べている。マルチモーダル感覚については、導入している部品がまちまちである上、パーセプトロン組み込みや相互通信の方法もUSBや485インターフェースなどかなり原始的で多様であって、ロボットがある程度人の形からかけ離れてしまっている。知能化した人間の状態にするにはやり取りの形を一本化する必要があるのである。

複数の業界関係者によると、「こうした乱れは成長期には避けられないものであるが、ハードウェアについては標準化に向けて当面の基準を設けてもいい」と見ている。また、オペレーションシステムを通じて一本化したソフトウェアのインターフェースを生み出そうとしているメーカーも存在している。

(中国経済新聞)