BMWの世界初の5S店である「北京星徳宝汽車銷售服務」(以下「星徳宝」)が事業停止となった。公開情報によると、星徳宝は2012年6月の開業以来、一般の4S店を10%-20%上回る3.2億元(約68.8億円)以上を投資しており、面積は2.2万平方メートルである。店の造りを環境に配慮した形としているほか、サステナビリティにも取り組み、エネルギーの消費割合も普通の店の建物より26%低減し、5%分を再生可能エネルギー利用としている。「5S」としている理由は、一般の4S店に「サステナビリティ」(Sustainability)という建設理念を加えたからである。同社の株主は、BMW中国法人における主力代理店5社の1つで、複数の高級車の販売権を持つシンガポールのG.A.グループの配下企業である北京中宝卓越国際貿易である。
10月23日、星徳宝は店の前に、「経済環境全体の影響で資金繰りが苦しくなっており、大勢のお客様や従業員の利益をよりよく守るため、資金の注入や他社への委託管理といった策を積極的に求め、苦境の脱却を図っている。BMWの販売権は2024年10月20日に終了しており、現在は新車やアフターサービス関連の事業を中止している」との張り紙を掲示した。
中国は自動車ディーラー店の倒産例として、2023年初めに浙江省台州で最大の自動車販売会社である中通集団が4S店19か所をすべて閉店している。地域ディーラーである同社はそれまで25年間も営業しており、マセラティ、アウディ、紅旗など中・高級車を扱っていた。その前には、同じく高級車を扱う4S販売店会社の「正通汽車」も経営破綻に陥っている。今年8月28日には、かつて販売台数が最大規模だったディーラー会社「広匯汽車」が、終値が20営業日連続で1元(約22円)を下回ったことで、上場廃止となってしまった。
中国自動車流通協会は2024年9月に、「長引く『値引き合戦』などでディーラーが深みにはまり、特に資金の流動性が極度に悪化するなどの問題に見舞われている」とコメントした。ディーラー各社は現在、在庫が増えすぎて安値で叩き売りをせざるを得なくなったこと、赤字で資金が底をつく恐れが生じていること、という2つの問題を抱えていると表明している。
(中国経済新聞)