NVIDIAのフアンCEO、アジア一の富豪と対談 「インドでの計算力は20倍増」と表明

2024/10/30 07:30

米半導体大手NVIDIAの創業者でCEOのジェンスン・フアン氏は、インドのムンバイで現地時間10月24日に開催した年間AIサミットで、「インド企業との提携を拡大し、地元向けに軽量のAIモデルを導入する」と述べた。インドでは計算力が1年前の20倍近くに達しており、引き続きAIインフラの整備に力を入れていくとのことである。フアンCEOはまた、アジア一の富豪でインドの大手財閥であるリライアンス ・インダストリーズ(Reliance Industries)のムケシュ・アンバニ会長(Mukesh Ambani)と対談している。

フアンCEOは、「インドではNVIDIAはインドのAI」と、現地化に取り組むことを強調した。「インドで新しい軽量の言語モデルであるNemotron-4-Mini-Hindi-4Bを導入している。40億のパラメータを持ち、企業が自社のAIモデルを開発するためのものだ」と述べた。インドでは大企業からスタートアップ企業まで、多様な言語をベースにしたAIモデルの構築に力を入れているという。NVIDIAは声明の中で、「このモデルは削減、蒸留、トレーニングを経て実世界のヒンディー語データ、合成ヒンディー語データ、同量の英語データと結びつけた」と述べている。

公開情報によると、リライアンスは1958年設立で、インドではタタに次ぐ2番目の財閥であり、民間のジョイントベンチャーとしては最大の企業である。年間売上高は100億ドル(約1.5兆円)以上、事業範囲は石油化学、通信、バイオサイエンス、小売りなどである。

NVIDIAはインドで、企業に対しバーチャルの世界での工場のテストなどを認める産業級メタバース「Omniverse」の普及に取り組んでおり、リライアンスはまず活用先の第1弾になる見込みである。フアンCEOはまた、発表間近である次世代型旗艦GPU半導体のBlackwellをリライアンスのデータセンターに導入するとも述べている。

NVIDIAは20年前にインドで初めて工場を建設し、さらにエンジニアリングおよび設計センターも設けている。去年9月にインドでリライアンスとともにAIスーパーコンピューターを開発すると発表した上、現地の言語でAIをトレーニングするモデルを整備すると約束した。

今回のNVIDIAのAIサミットは、まさに世界の半導体会社がインドへの投資や工場建設に取り組んでいる中での開催となった。プライベートエクイティ大手のTPGGrowthの元パートナーで取締役社長のVish Narain氏は先ごろ、「インドは今、AI産業の拡大に取り組んでおり、政府も企業もデータセンターの整備に努めている。計算力に対する企業の需要が非常に高いことでインフラ投入が盛んであり、AIもインドの経済成長における新しい分野を推進している」と述べている。

(中国経済新聞)