BBCは10月9日、アメリカで10以上の州が動画配信アプリTikTokを相手に、若者のメンタルヘルス危機を引き起こしたとして提訴したと伝えた。超党派の司法長官14人からなる団体がTikTokに対し、中毒性を利用して子どもを夢中にさせ、わざと長時間の利用につなげており、安全性について誤った情報を伝えていると非難した。TikTokはこれに対し、「提訴は残念だ。これらの主張は不正確で誤解を招くものと見ている」と称している。
TikTokについては、アメリカ国会が4月に親会社のバイトダンスに対し、TikTokの売却に同意しない限り国内での運営を禁止するといった法案が可決されており、今回またも法的問題に見舞われることになる。火曜日にニューヨークで発表された起訴状によると、「TikTokは自社プラットフォームの強迫的な利用やその他の有害な影響が、何百万人ものアメリカの子供や若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしていることを知っている」と指摘している。司法長官らは、「TikTokは若者にとって安全だと主張しているが、睡眠を妨げるアラート、頻繁にアプリを見るよう仕向ける短い動画、体型の悩みを引き起こすような美顔フィルターなど、危険な行為を助長したりメンタルヘルスを悪化させたりする機能がある」と強く批判し、「画面セーブのツールの効果を誇大に表現している」とも指摘した。
TikTokは改めて若者を守ると約束した上、引き続きアプリを改善していくと表明した一方、指摘事項については事実とは異なると強く否定した。禁止令を下した裁判所を訴え、損害額の賠償も検討するという。今回の事例は、同じくSNSのFacebookやInstagramが若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしたとして提訴されたケースと似ている。
TikTokはまたこのほか、連邦取引委員会(FTC)から子供のプライバシー保護に違反していると指摘されている。イギリスのデジタルヘイト対策センター(CCDH)のイムラン・アーメドCEO(Imran Ahmed)はこうした法的行動について、保護者に対しアプリの危険性に注意を促すことにはなるが、抜本的な対策としては規制の強化が必要と見ている。「司法長官らは今ある方策の利用に努めているが、司法制度におけるIT大手への責任追及の限界性は無視できない」と指摘している。
(中国経済新聞)