10月8日に行われた台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)最大手「鴻海(ホンハイ)精密工業」の2024鴻海科技日(鴻海テックデー)」(HHTD24)で、傘下のクラウドエンタープライズソリューションのBenjamin Ting上級副社長が、「鴻海は今、世界最大規模のGB200製造施設(GB200チップ工場)を建設している」と述べた。
これについて、半導体大手のエヌビディアは確認しておらず、ジェンスン・フアンCEOはテックデーに出席していなかった。ただしエヌビディアが10月7日に発表した公式ブログによると、現在フォックスコンとともに台湾で最大のスーパーコンピューターを構築中という。
今回の鴻海テックデーでは、高雄でのスパコン構築事業が発表された。エヌビディアの半導体「Blackwell」をベースとして、ラック64台とGPU 「Tensor Core」4608台をそろえ、AI性能が浮動小数点演算数9京回以上と見られる世界最強レベルのスパコン「GB200 NVL72」を導入するという。最初のステップとして2025年半ばに稼働を始め、2026年には本格的に配備する予定である。
鴻海の劉揚偉会長は、スイッチングハブやAIデータセンターでエヌビディアのスーパーチップを導入し、第4四半期には次世代GPUのBlackwellを発表すると述べている。この半導体への需要を満たすべくメキシコに工場を建設中とのことで、「Blackwellのマーケットニーズが予想以上であり、AIサーバーが世界的に求められているようだ」と述べている。
鴻海のこうした方針転換はすなわち、アップルの最大のサプライヤーという立場からアマゾン、グーグル、マイクロソフト、エヌビディアなど世界的なIT大手向けのAI用サーバー生産者への移行を意味するものである。IT調査会社「Gartner」のアナリスト、ロジャー・シェン氏は、「鴻海はエヌビディアの受託先であるほか、エヌビディアの取引先にサーバーを直売りしており、アメリカのサーバー開発大手SUPERMICROのパートナーモデルとは違う」と指摘している。
エヌビディアのフアンCEOも先週、「Blackwellは需要が旺盛で、ほぼすべての取引先が真っ先に手に入れたいと願っている」と述べた。Blackwellの売値については3万~4万ドル(約447万円~595万円)と予想している。
エヌビディアのAI半導体需要増で、鴻海だけでなくSupermicroも恩恵を受けており、「四半期ごとのGPU出荷量は10万台を超え、新たな液体冷却装置(DLC)も出している」と表明している。SUPERMICROのDLCは、空冷式より省エネである上、サーバーラック1か所にエヌビディア製GPU Blackwell B200を最大で96台収容可能であり、効率的であるという。これを受け、SUPERMICROは株価が16%近く値上がりしている。
(中国経済新聞)