中国の電気自動車(EV)メーカー「NIO」(蔚来汽車)は10月5日、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンドで戦略的投資家である「CYVNホールディングス」と、UAEのアブダビにスマート運転やAIの開発をする先進的な技術開発センターを設立することで合意したと発表した。さらに、これをベースにCYVNとともに現地に適した新型車種を共同開発するという。
NIOはまた、中東や北アフリカに本格進出し、今年10月以降にUAEへ車の納入を始めるとも発表した。さらにこれらの地域でサービス体系を構築するため、CYVNと合弁で「蔚来中東北非」を発足させるという。
NIOの会長でCEOである李斌氏は、「中東や北アフリカではスマートEVの普及が見込めると見ている。重要な戦略投資家でパートナーであるCYVNは現地に豊富な資源を抱えているので、事業の持続的な成長に役に立つ。CYVNとの提携で合弁会社のグローバル化や技術革新が一段と進み、当社もグローバル化が加速する」と述べている。
CYVNは、UAE政府が多額の出資をしている投資会社であり、先進的なスマートモビリティー分野に重点を置いている。去年はNIOに対し、7月と12月の2度にわたって合計およそ33億ドル(約4894億円)の出資をし、NIOの発行済分および既存の株主の保有分合わせて約20.1%を引き受け、筆頭株主となった。ただし特別議決権があるので、引き続き李氏が実質的支配者となる。
中国の自動車メーカーは海外市場として、今やヨーロッパや東南アジアだけでなく中東や北アフリカも事業展開の場になっている。
今年の6月には小鵬汽車(Xiaopeng)がエジプト向けに「G9」、「P7」の2車種を売り出すと発表したほか、北京モーターショーでは哪吒汽車(Neta)がアフリカ進出に向けてエジプトやケニアの販売業者と事業契約を結び、同じころに极氪(Zeekr)が中東向けの「001」と「X」を披露している。また同じく中国勢の奇瑞、吉利、長安、BYDなども中東で事業展開している。
デロイトトーマツのレポートによると、湾岸諸国はマーケットは小さいが1人当たりの所得が高くて購買力があるという。サウジアラビアやUAEなどは公共発注や投資などにより新エネ車メーカーを支援している上、中東ではEVへの認知度が高く、購買意欲が強いとのことである。
(中国経済新聞)