アメリカ、中国製EVの関税を大幅に引き上げ 

2024/09/17 11:30

アメリカ政府は現地時間9月13日、中国から輸入する製品の関税の大幅な引き上げを決定した。EVについては100%とする。国内の戦略的産業を一段と保護することが狙いだとしており、通商代表部によると一部は調整の上で9月27日から実施するとのことである。

ホワイトハウスは4か月前の5月14日に、中国から輸出されるEVの関税を現在の25%から100%に引き上げると公式発表していた。

アメリカがこうした策をとる背景は「中国EV脅威論」である。中国のEVはこのところ、サプライチェーンやコストメリットをバックに輸出を増やしており、2023年は前年比67.1%増の177.3万台で、今年1~8月の新エネ車輸出台数は前年同期比12.6%増の81.8万台であった。

対照的に、アメリカのEV業界は思うように伸びていない。アメリカ自動車イノベーション協会のJohn Bozzella CEOは先ごろ、「現在販売している113車種のEVまたはPHEV(プラグインハイブリッドカー)のうち、国内で税額控除の資格を得ているのはわずか22種類で、最高額となる7500ドル(約105万円)の免除対象は13種類のみである」と公開した(注:税額控除対象となるには部品の多くを現地調達とする必要あり)。アメリカの排出規格やEVの生産目標は、税額控除分をかなりの割合で考慮した上でのものであることから、これらの優遇が得られないと自動車業界は世界で戦えなくなってしまう。

国内産業を守るために中国製EVに高額な追加関税を課すとの策に対し、アメリカのある自動車メーカーの外部取締役は以前、「単なる過去の蒸し返しだ。日本や韓国のメーカーに対しても国内普及を防ぐ措置を講じたが、フォードやGMはもう何十年も市場シェアを落とし続けており、クライスラーもイタリアのフィアットに買収され、日本車や韓国車のシェアが伸びる一方だ」と述べている。アメリカはライバルへのハードルを引き上げず、国内産業の競争力向上にもっと目を向けるべきだとのことである。

中国は、新エネ車輸出台数の中でアメリカ向けはさほど多くなく、今回の措置でEVの輸出に与える影響は少ないと見られる。2023年のEV乗用車のアメリカ向け輸出分は1.24万台で、全輸出に占める割合は台数、金額ともに1%以下であった。また、テスラ現地法人で最大の輸出量を誇る上海ギガファクトリーで生産されるModel 3やModel Yは、主にヨーロッパやアジア太平洋の各地で販売されている。

(中国経済新聞)