陝西省西安市の邁科中心(マイケセンター)で2021年にオープンした蔦屋書店が、経営方針の見直しで10月8日に営業を終了すると発表した。
日本で数千の店舗を抱える有名書店である蔦屋は、2020年12月24日に上海で1号店をオープンして中国に上陸しており、西安店は浙江省杭州と上海に次ぐ中国3号店であった。
西安店はオープンからわずか3年間で、藍海風曼巷、万邦書店、方所書店と並び西安の「4大人気書店」に数えられるまでになった。
店はフロア2つ分で面積4500平方メートル、書籍数は13万冊であり、コーヒーなど飲料も用意している。
中国は今、人気の書店の閉店ラッシュを迎えている。「鐘書閣」は8月27日、公式SNSで「重慶店が売場側の経営事情により開業から5年をもって9月17日夜に営業を停止する」と発表した。今年5月には福建省アモイで有名なチェーン店「十点書店」が「閉店セール」を行い、すべての店舗を閉鎖すると発表した。2023年には湖南省長沙で7年間営業していた「当当梅溪書院」が閉店、今年2月には同じく長沙の洋湖天街にある「十点書店」が、最後に一斉安売りをする形で読者に別れを告げた。今年8月には「西西弗書店」も一部店舗を閉店している。
事業戦略の専門家で福建省の華策品牌定位諮詢の立ち上げ人である詹軍豪氏は、このように各地で書店が様々な課題を抱えて経営困難に陥っていることについて、「まずインターネットの普及を受けてオンラインでの購入が主流となっている。品数も多くて値段も安く、手に入れやすいので、リアル書店は太刀打ちできない。それと、電子書籍の普及や、ショートビデオなどSNSの閲覧時間の増大により、店に足を運ぶ人の数がさらに減っている。またリアル書店は、運営コストがかさむ上に競争も激しく、読者の選択肢も変わってきていることで、経営環境がさらに悪化している。こうした悪条件が重なり、これまでにない苦境に立たされている」と述べている。
(中国経済新聞)