中国、8月は自動車の輸出が大幅増 新エネ車の「海外進出」が加速

2024/09/13 18:30

中国税関総署によると、8月の自動車の輸出台数(シャーシ含む)は61.0万台で、金額は779.4億元(約1.56兆円)であり、7月(55.3万台、710.8億元=約1.42兆円)より大幅に増えた。また1月~8月の合計は前年同期比27.5%増の409.4万台、金額は同じく22.2%増の5408.4億元(約10.83兆円)であった。

民生銀行のチーフエコノミストである温彬氏はこれについて、「結果を見ると持ち直しており、去年の数字が少なかったことと新エネ車メーカーが海外展開を加速したことが理由」と述べている。海外で特に好調だったのがBYDや長城などであり、BYDは9月1日発表の「2024年8月生産販売速報」によると、海外での新エネ乗用車販売台数は31451台で、うち輸出分が30451台であった。

巨豊投顧のシニア投資顧問である丁臻宇氏は、「輸出が大きく伸びているのは新エネ車が『海外進出』を加速していることの表れだ。中国メーカーは飛躍的な技術革新を果たしただけでなく、世界の産業チェーンの中で独自の競争メリットを備えていった。例えばコストダウンやサービス向上を目指して東南アジアなどに工場を設けている。世界的に低炭素モビリティーへの需要が高まる中、中国の新エネ車は海外で競争力が一段と強まるだろう」と述べている。

また上海財経大学経済学院の岳翔宇准教授は、このところの中国自動車メーカーの海外進出傾向は生産面のメリットを考えたものと指摘している。中国メーカーはEV化やスマート化といった面で技術的に先行しているほか、製造業のコストが安価でコスパのある製品が生まれているという。

中国自動車工業協会が9月10日に発表した輸出に関するデータを見ると、新エネ車について8月は前月比6.1%増、前年比22%増の11万台で、1月~8月は前年同期比12.6%増の81.8万台であり、いずれも急速に増えていることがわかる。

岳准教授は現在の中国の自動車輸出について、①様々な地域に及んでいる、②中身が多様化し、車両自体だけでなく各種の部品もある、③企業が安定化している、といった特徴を挙げている。

また丁氏は、新エネ車の輸出が急激に伸びるなど中身自体も改善していると見ている。さらには、サプライチェーンと車両メーカーの「一括海外進出」により、スマートEVのサプライヤーが海外で競争力を高めているという。

(中国経済新聞)