アリババ傘下の物流企業「菜鳥集団」(CAI NIAO)の万霖(WAN CEN)CEOは9月10日、2024年世界スマート物流サミットで、「レベル4の無人車をすでに発売しており、一般道路で本格的に宅配便の配達を行う予定」と発表した。
無人車について、菜鳥は2016年から開発を始めている。ここ何年かやや下火になっていたが、今年は各都市で走行させるための支援策が相次ぎ打ち出され、テスト段階から実用化へと歩を進めている。万CEOは、「浙江省杭州や山東省青島などで無人車のテストエリアが設けられている。中国全体では数十か所で大型の配達用無人車の走行が許可されており、業界内で模索する場面が広がった」と述べている。
菜鳥(CAI NIAO)の李強(LI QIANG)CTOは、向こう3年ないし5年で宅配用の無人車が20万台以上となると予測している。「最近は自動運転技術の向上により、一般道路で無人車が問題なく低速運転できるようになった。規制緩和策も打ち出され、無人車は一段と普及するだろう」と見ている。杭州のある集配所で配達用の無人車20台以上をそろえており、積載容量はそれぞれ5立方メートルで1日の配達件数は1500件以上となっている。李CTOは、「無人車を利用することで1件当たりの配達コストが0.05~0.1元節約される」と述べている。
菜鳥(CAI NIAO)はまた、無人車の造りについて、技術を生かしてセンサーの力を最大限に発揮させ、精度のある地図への依存度を軽減し、生産や運営のコスト抑制に努めている。また李CTOは、業界内での競争ではコスパがカギを握ると強調している。無人車は今後、様々な大きさの配達物に対応するためにシャーシの伸縮が可能な形が導入されそうであるが、菜鳥は現段階では5立方メートルのタイプの改良に専念している。
ただし業界関係者は、「配達用無人車が物流界全体にどういった影響を与えるか、いまだに見えてこない」と述べている。利用場面や集配施設の規模についてある程度のしばりもあり、製造や運営にお金がかかる中、物流界全体で配達コストが本当に削減されるか、実効性は不明である。業界内での関心事項は今、今後の成長に向けて配達効率をどのように引き上げるか、といったレベルにとどまっている。
このほか李CTOは無人車について、値段やコスパのほかに見た目も大切だと述べている。「愛らしさ」があり、ハイテク感や将来性が見えるスタイルが望まれているという。
(中国経済新聞)