フランス通信大手がバイトダンスの取締役会に参入

2024/09/11 07:30

TikTokの親会社であるバイトダンスはホームページで、コーチュー・マネジメント(Coatue Management)の創業者であるフィリップ・ラフォン氏(Philippe Laffont)が取締役会を離脱したと発表した。コーチューはバイトダンスの株式の一部を見積額2300億-2400億ドル(約32.94兆~34.38兆円)で売却するために、流通市場の仲買業者と交渉を始めているという。一方、バイトダンスも時を同じくして、フランスの億万長者である通信大手イリアド(Iliad)の創業者、グザビエ・ニエル氏(Xavier Niel)が役員に就任したと発表した。

この結果、バイトダンスの取締役会メンバーは、CEOの梁汝波(Liang Ru Bo)氏、米サスケハナ・インターナショナル・グループの創業者Arthur Dantchik氏、米ジェネラル・アトランティックCEOのWilliam E. Ford氏、セコイア・キャピタル・チャイナの業務執行社員である瀋南鵬(Pan Nan Peng)氏となる。

バイトダンスは2012年の発足以来、中国のユニコーン超大手として常にアメリカからの投資を受けており、公開情報によると、これまでの融資額は100億ドル(1兆円超)近くに達しているという。最新の情報では時価総額2680億ドル(約32.39兆円)となっており、創業者である張一鳴(Zhang Yi Ming)氏の資産額は3402億元(約6.85兆円)に達している。

未上場でありながら世界から注目されているバイトダンスは、動きを見せる都度、世界のIT業界の現状や見通しに影響を与えることになる。

バイトダンスはまた数日前に、企業融資としてアジアで日本を除き最大規模となる95億ドル(約1.36兆円)を求めていると報じられた。そのわずか1か月前にも同じく50億ドル(約7162億円)の借り換え融資を求めたと伝えられている。バイトダンスは2021年の融資額が計50億ドル(約7162億円)とされており、業界内でかなりの注目を集めた。公開情報によると、この融資は半分以上が既存の債務に対する借り換えに使われ、残りはアメリカ洲、ヨーロッパ、中南米など海外での事業拡大に用いられている。

融資の返済期を迎えた今、新たな融資への動きや、投資家や株主による相次ぐ株式の売却が見られ、さらにはTikTokが社内チャネルを通じて従業員に伝えた運営や営業スタッフの大幅削減計画といった情報も出ており、資金繰りについてとめどない憶測が流れている。

バイトダンスが借り換え融資をするのは、融資コストの引き下げによる債務の中身の改善、あるいは会計問題への対応ではないかとの見解も出ている。TikTokがアメリカで利用禁止ともなりかねない中、フランスの億万長者を取締役として迎え入れたのは、ヨーロッパからの安定した支持を求めるためとも見られる。TikTokが法廷対決に向けて準備をしようとしている中でのバイトダンスの動きであり、今後の動向にも一段と注目が集まりそうだ。

(中国経済新聞)