中国フィンテック大手のアントグループはこのほど北京で、AI企業向けサービスを手掛ける「数字螞力」を設立した。
「数字螞力」の会長である周芸氏は取材に対し、「業界内では、AI TO B(AIのビジネス分野での活用)が今年は全般的に広まると予測されていたが、実際はそうでもなかった」と述べている。顧客サービス、技術開発、運営管理など様々な仕事がAIにより効率アップを果たしてはいるが、AIのビジネス利用はやはり期待値と現実に開きがあると見ている。
その理由としては、現在のAIや大規模言語モデル(LLM)の会社はほとんどが調達利用という形を敷いているからという。Pro版のLLMを導入しても結局は大量の人材やオペレーション、および既存の事業の流れとの結び付けが必要となり、いずれも多くの企業にとっては厄介なものである。
「数字螞力」はこの点に目をつけ、事業を3つに分類した。まずは「AIクラウドサービス」、スマート営業、スマート教育品質チェックなどを行うスマートサービスとマーケティングサービス、次に法律やコンプライアンスなどでスマートソリューションを提供するサービス、それとCodeFuseコードのLLMにより企業側で技術面でのハードルを下げてスマート開発を進められるようにするスマート技術サービスである。
「数字螞力」の特色は、人とマシンの融合である。周氏は、「有人対応は今後しばらくの間は必要となる。人とマシンの融合策はまさに、AIのスキルをトータルに使って人間や営業担当をサポートするものであり、営業はよりスムーズにコミュニケーションを図れるようになる」と説明している。
周氏は、「AIは今後活用するにあたり、基礎や専門分野でのモデルのスキルが必要であるほか、企業側の既存のフローやビジネスルールと結び付ける必要がある。また実際に事業効果を生み出せるものだ」と強調している。すなわち、AI TO Bを実行するには業界ソリューションやエンドツーエンドのサービスに合わせる必要があるという。
アントグループは、今回「数字螞力」を設立した一方で、最高技術責任者である何征宇氏が「今後10年間のテクノロジー戦略はAIとデータの主要2分野に焦点を当てる」と述べている。さらにLLMについても、AIをバーコードスキャンによる決済と同じくらい便利にするよう力を入れるという。
(中国経済新聞)