シンガポール、ビザ相互免除で中国人観光客が国別最多に

2024/07/21 08:30

シンガポールは、今年2月にビザの相互免除相手国となった中国からの観光客が国別で最も多くなった。去年はインドネシアが最多であったが、シンガポール政府観光局の最新データによると、今年1月~6月の中国人観光客数はインドネシアののべ130万人を上回るのべ145万人以上に達し、国別でトップに立った。

2023年の中国人訪問者は年間で136万人だったことから、今年は半年でそれを上回ったことになる。シンガポール最大の国際空港であるチャンギ空港の最新データでは、今年上半期の中国便の利用者数はコロナ禍前の2019年上半期を約10万人上回るのべ370万人となっている。

チャンギ空港によると、今年2月に中国とビザの相互免除が導入されてから中国便の利用者が一気に増えたという。運航本数が増えたことも乗客増を後押ししており、中国では都市別に見たシンガポール便の利用者数上位5か所は上海、広州、北京、深セン、アモイとなっている。

チャンギ空港は今、15の航空会社が中国29の都市を結んでおり、週の運航本数は計426本である。コロナ禍前までは16社で計37都市に運航していた。

シンガポール観光局によると、中国はコロナ禍前まで3年連続で外国人観光客の中で一番多かった。2023年はインドネシアに次ぐ2番目だったが、観光収入は中国人によるものが国別トップだった。

シンガポール貿易産業省が今年5月に発表した2024年第1四半期の経済調査報告によると、観光業の回復で宿泊業、航空業、小売り販売、飲食サービス業、金融や保険業が好調だという。

またシンガポールは9月にF1グランプリ(Singapore Grand Prix)が開催され、さらに多くの外国人が訪れそうである。ただし中国では、ビザ相互免除の実施後にネットで「ビザ免除は『無料』とは違う」などというコメントが増えている。パスポートさえあれば自由に動けるので下調べ不十分のまま現地へ行き、着いた途端に物価の高さに驚く様子を揶揄したものである。

宿泊料で言えば、普通のホテルでも1泊おおむね1000元(約2.2万円)以上かかり、人気スポットであれば最低でも1500元(約3.2万円)以上である。東南アジアだけでなくアジア全体で見ても高さが際立つ。

エコノミストインテリジェンスユニット(EIU)の調査によると、2023年に最も物価の高い都市となったのは、同率でシンガポールとチューリッヒで、ニューヨークはその次点に後退した。シンガポールは過去11年間で9回、世界一生活費の高い都市となっている。

(中国経済新聞)