京東傘下の「京喜」が委託管理モデルを導入 低価格競争が新たなステップに

2024/07/5 17:30

中国の電子商取引(EC)大手「京東」の傘下で低価格・高コスパを売り物にしたアプリ「京喜」が、「京喜自営」に名称変更し、委託管理モデルでより安い品を提供するようになった。

「京喜自営」は事業モデルとして、ノーブランド品づくりに努め、サプライヤーチェックをし、商品はすべて原材料や工程から手を付け、過剰包装は避け、プロのサービスを行い、品質を備えて値段も安い工場の良い品を届ける、としている。「厳密に購買し工場直送、すべて送料込みの公式サービス」を手掛けるという。

「京喜自営」はまた、今後も京東のサプライチェーンを利用して良質なサプライヤー資源とし、安くて良い品をどんどん届けて楽しく買い物をしてほしい、と表明している。

京東のAppトップページは今、京喜直営への直接リンクがなく、「京喜自営公式店」にたどり着くには検索ワード「京喜直営」の入力が必要である。これら公式店は現在、フォロワー数が5000万人以上であり、商品の多くは10元(約223円)以下で、ワイヤレスイヤホンは8.9元(約198円)である。現在、一番の売れ筋商品は3.9元(約87円)の壁掛けティッシュで、コメント数は200万件に達している。また配達業者についてコールセンターは、「『円通』『韵達』『郵政』『極兔』などを起用しており、京東は使っていない」と返答した。コスパを配慮したものとも思われる。

委託管理モデルについては、低価格販売が強みの電子商取引(EC)大手「拼多多」傘下のTemuが火付け役である。Temuは2022年にこのモデルを導入し、安さを売り物にたちまち市場を拡大した。売主は品を出荷するだけでよく、アプリ側の倉庫に事前に届けられて輸送、運営、販売まで実施され、定められた段階でそれぞれ決済が行われる。値段が安い上に売主は手間がかからない。このモデルはアリエクスプレス(AliExpress)、Lazada、Shopee、Tik Tok Shopなどが相次ぎ導入している。ある海外通販の業者は、「アプリが主導で輸送費も安く、手数料に悩まされることもないし、値段は自家販売式よりずっと安い」と話している。Popの場合は物流やアプリ手数料などの費用面も考える必要があり、初期段階での値段も当然委託式より高いので、競争力が望めないという。

本色智庫の主任研究員である張周平氏は、「Eコマースの成長空間は今後、産業面や製造元から生まれる」と述べている。売主が生産しアプリがプロモーションや販売をするという形で、貿易会社によるEコマースへの参入がしやすくなる。アプリからすれば、製造一体型の企業は製造力もサプライチェーンも備えており、今のような競争環境でよりコスパのある品を求めている中、川上であるメーカーが見つかれば一段と価格面で優位に立てる。

張氏は、アプリ側が低価格品を求めているのはグローバル経済に関係していると見る。経済が減速している今、世界の消費者がコスパの高い品を必要としていることから、アプリも改革を迫られているとのことである。

(中国経済新聞)