EUはこのほど、糖アルコールの一種で様々な食品に砂糖の代わりとして使われるエリスリトール(Erythritol)について、中国原産のものに51.8%~294%の追加関税を課すと発表した。
これについて、中国の甘味料大手「三元生物」によると、「最終決定ではなく結果は7月20日に発表され、市場への影響評価は未発表だ」と表明している。今回の発表は、EU が2023年11月21日、スイスに本社を置く食品添加物大手のJungbunzlauerから「中国産のエリスリトールは価格とコストが釣り合わないなどの問題がある」との主張を受けたことが発端で、三元生物、保齢宝などの糖アルコール製造の上場会社に対しダンピング調査を行った。
調査の結果、保齢宝に51.8%、東暁生物科技に105.6%、三元生物にはさらに高額の156.7%、それ以外の会社に152.9%~294%の追加関税を課すことになった。
保齢宝の社員はこの結果について、「ほぼ最終結果であって受け入れる」と話しているが、三元生物は提訴すると表明した。判決の結果は7月20日ごろ発表の見通しである。
中国ではエリスリトールは、これまで供給過多がようやく緩和し始めた状態である。コロナ禍で需要が急激に伸び、2022年は新規生産分が需要の5倍前後に達し、価格も4万元/トン(約89万円/トン)から2023年には9500元/トン(約21万円/トン)まで落ちた。しかし2023年末ごろから状況も緩和し、山東省では今、1.3万元/トン前後(約29万円/トン)まで値戻りしている。
このような状況下で、やはり輸出が大きな割合を占めている。三元生物は2023年、国外販売分が全収入の76.8%を占めており、先ごろの発表では2022年10月1日~2023年9月30日のエリスリトールのEU向け輸出額は売上高全体の約18.8%となっている。今回の高額な追加関税について、業界内でも需給への影響を心配する声が上がっている。
また保齢宝は、EUへの輸出品のうちエリスリトールの割合は少なく、それ以外の高級な砂糖代替品が多いので、今回の措置は業績にはさしたる影響もないと表明している。一方で三元生物は、正式な判決の結果が出た後に最終的な評価を下すと表明している。
(中国経済新聞)