上海で3日間にわたって行われた2024年アジア物流展には、世界の航空会社、空港、地上代理店、貨物輸送業者などおよそ50社が参加した。国際的に航空輸送の需要が急激に増え、輸送力が足りなくなっている様子が見えている。香港の航空最大手・キャセイ航空で中国の貨物輸送統括を務める何瑩氏は、「会場では輸送力や運賃について随分と問い合わせを受けた」と述べている。
このところ航空輸送への需要が増え続け、運賃もコロナ禍前を大きく上回り、中でも中国からの輸出に対して多くの国内外の輸送会社が興味を示している。アフリカ最大の航空貨物輸送会社であるエチオピア航空グループの最高ロジスティック責任者、アベル·アレム·イメール(Abel Alemu Yimer) 氏は、「2022年に貨物用として注文したボーイング777型5機のうち3機が納入されたが、とても足りない」と述べている。ボーイング民間機グループの貨物輸送部門統括であるトーマス·ホン(Thomas Hong)氏は、「今は貨物機が十分に選べない状態だ。古い機体が徐々に淘汰される一方で、新しい機体の納入が2029年以降にずれている」と指摘している。
また、エミレーツ航空貨物輸送部グローバル輸送部門のシニアディレクターであるジェフリー(Jeffrey Van Haeften)氏は、「サプライチェーンや部品が世界的に不十分なので、貨物機だけでなく旅客機も納入が遅れている」と強調する。旅客機を改造したり貨物機をリースしたりして輸送力を補っているという。
このような貨物輸送の増大は越境ECの急増が主要因であり、今年1~4月の世界の航空貨物輸送量は前年同期比で12%以上の増加である。何氏は、「拼多多を中心にEコマースが増えていることで航空輸送が増え続けており、中でも欧米向けの品物が多い」と述べている。
東南アジアの物流大手「テレポート(Teleport)」の中国エリア総経理である彭巍氏は、航空貨物輸送全体における越境ECの割合は2027年に3分の1近くに達すると予測している。アジア、アメリカ、ヨーロッパで低価格な中国品への需要が増えているためという。テレポートは、中国から東南アジアに運ぶ品物の件数が1日81000件以上であり、2025年にはこの数を200万件に増やすという目標を掲げている。SHEIN、TEMUなど中国の通販サイトの航空輸送量は1日数千トンで、繁忙期にはさらに多いという。
輸送力が需要に追い付かないことで、運賃も値上がりしている。ボーイングによると、航空輸送の収益率は多かった2021~2022年以降で一旦落ちたが、2024年4月はコロナ禍前より32%高い 2.43ドル/kg(約391円/kg)になっている。また中国からの輸出分の収益率はコロナ禍前より55%高く3.85ドル/kg(約620円/kg)である。
(中国経済新聞)
エミレーツ航空やエチオピア航空は、中国の品物をそれぞれ本拠地であるUAEやエチオピアに一旦運んだ上、旅客や貨物の輸送ネットワークを利用して世界各地に届けている。トーマス·ホン氏は、中国は今後、航空貨物の中軸となり、東南アジアから品物を集めて大型貨物機で世界各地に輸送するようになると見ている。