深セン市福田区の中古マンション「八卦嶺宿舍」は、「学区内かつ立ち退き料つき撤去候補」の物件だったことから、2021年初めには成約価格が平米当たり14万元(約305万円)以上という一等地だったが、最近は10万元(約217万円)近くも値下がりして約4万元(約87万円)となっている。同じく八卦嶺の「旭飛華隆園」は、2021年の成約平均価格が平米当たり約11.96万元(約260万円)であったが、今年4月は約4.12万元(約90万円)と65.6%も下落している。
深センのある不動産仲介業者によると、「学区内住宅は価格が軒並み下落している中、八卦嶺宿舍は落ち込みが激しい。その理由は元々の立地に大きく関係がある」とのことである。深センの不動産価格は安定するまで時間がかかり、「古い・汚い・小さい」の学区内住宅が底値になったとは言い難いという。
北京市海淀区万柳で、同じく中間所得層に人気だった学区内マンションの「蜂鳥家園」は、2021年には44平方メートルの物件の成約価格が985万元(約2.14億円)で、平米当たり22.4万元(約487万円)以上という高値物件だったが、2023年末には52平方メートルの開放型物件が617万元(約1.34億円)まで値下がりしている。平米当たりではおよそ10万元(約217万円)減の11.9万元(約258万円)である。
地元の不動産セールスによると、「この辺りは一般レベルの物件でも700万元(約1.52億円)は下らなかったが、今は500万元前後(約1.09億円)が多く、ワンルームが中心だ」とのことである。今回の値下げは需要の大幅な落ち込みによるもので、その大きな理由は買い手が多くの物件を前に様子見しているからだという。
中原地産研究院のリーダー研究員である張大偉氏は、「学区内住宅の出現自体が、教育資源の地域間の不均衡の表れだ。地域によって学校や教育資源に開きがある中、親は子供によりよい教育を受けさせようと、学区内の物件を購入したがる。そして、教育をさらに重要視するようになったことで、これらの物件が一段ともてはやされる」と述べている。
張氏は、「大都市ではこうした過度な物件争いを防ぐため、教員のローテーションや学校の区割り変更、募集枠の分散、公立・私立の同時募集、6年間限定居住などの策が講じられ、だいぶ熱も下がってきた」と話している。
中原地産のシニアアナリスト・廬文曦氏は、「学区内住宅は、以前は地上げがはびこって法外な価格になっていたが、今は適正な状態に戻っており、値下がりは当然のこと」と見ている。
廬氏は、「家探しの際は、通学と住みやすさの両方を考え、予算の範囲内でできるだけ住みやすいものを選び、少なくとも家族全員が住める2部屋か3部屋にすべきだ」とアドバイスしている。戸籍取得が目あての20~30平方メートルの物件は投機の対象になりがちで、価格が大きく変動する可能性が高いという。
(中国経済新聞)