中国、2023年は県域5か所で人口が1万人以上増 その理由とは

2024/06/16 08:30

人口が208万人も減少した中国で、経済力をつけた一部の県域で逆に人口が増えている。これまでの発表によると、2023年は安徽省合肥市の長豊県と肥西県、貴州省貴陽市の管轄下である清鎮市、浙江省金華市の管轄下である義烏市、江蘇省江蘇市の管轄下である昆山市の計5か所が1万人以上増加している。

これらを位置的に分析すると、産業が十分に発達していることでかなりの転入者がある沿海部、および省最大都市の中にあって都会の中心部との分業構造が定着した中西部に存在している。

この中で、長豊県は常住人口の増加数が最も多い3.3万人で、全人口は83.3万人となっている。これは2021年7月にBYDが県内の塘鎮に工場を設立したことが最大の要因である。県のGDPは2023年に946.43億元(約2.05兆円)となり、新エネ車の産業チェーンが急拡大して関連企業数が200社近くになり、産業チェーンの生産額は700億元(約1.52兆円)以上となっている。

同じく合肥市にある肥西県は2023年、1.7万人増えて100.5万人となった。このところ新エネ車、ヘルシー関連、スマート製造といった業種に力を入れており、大量の企業や人を集めている。今年4月には、自動車用ガラス大手の福耀集団が、県内で57.5億元(約1246億円)を投じて産業チェーン全般にわたる生産拠点の建設を始めた。自動車関連のガラスを年に400万件、また付帯ガラスを400万枚製造し、年間生産額は計60億元(約1300億円)となる見込みである。

貴州省貴陽市の西部にある清鎮市は2023年、1.94万人増えて66.11万人となった。貴陽市と貴安の成長エリアと、貴陽市で内陸開放型経済の先行モデルエリアを結ぶ重要な位置にあり、このところ人材誘致に力を入れて民間関連の労働者数が急増し、計118718人となっている。

江蘇省の昆山市と浙江省の義烏市は発達した東部沿海部の代表的存在であり、人口が増える傾向にある。昆山市は2023年に2.33万人増えて年末時点で常住人口が214.85万人となった。整った産業チェーンや強力な製造業をバックに、コンピュータ本体の年間生産量は2387.03万台、携帯電話は同7536.18万台で、ハイテク企業の数は3072社である。

義烏市は2023年、1.5万人増えて190.3万人となった。「世界の日用雑貨卸売市場」としてEコマースを軸に第三次産業が急成長し、大量の雇用を生んでいる。2023年の1人あたり可処分所得は83954元(約182万円)である。

(中国経済新聞)