5月13日、2022年の中国長者番付上位500人が発表された。順位は大きく変動し、上位10人から不動産関係者が消えたほか、過去4回トップに立ったアリババの創業者、ジャック・マーもベスト10位から漏れ、14位に落ちた。
1位は、去年に引き続き飲料水ブランド「農夫山泉」の創業者である鐘睒睒氏で、資産総額は前回の5043億元からやや落ちて4983億元であったが、マー氏よりも3650億元多かった。コロナなどの影響でこの1年間は各業界とも不振だった中で踏みとどまった農夫山泉は、2021年の売上高は前年比29.8%増の296億元、利益は同じく35.7%増えて72億元であった。
2位は車載電池の大手「CATL」を立ち上げた曽毓群氏で3348億元、また同社の副社長である黄世霖氏も1535億元で9位に食い込んでいる。新エネ車の急拡大によりレジェンド的な存在となったCATLは、株価は落ちたものの時価9668億元となっている。
テンセントの創業者であるポニー・マーが、前回に引き続き3位に座った。中国のIT大手2社の一角であるテンセントは、かなりの営業規制も受けたが、アリババのような独禁法に関する調査や罰金などは免れた。比較的安定しており、社内も波風がなくスキャンダルも少ないので、時価もそれほど落ちてはいない。
4位は動画アプリ「抖音」(Tiktok)の創業者である張一鳴氏で、去年の16位から大きく順位を上げた。目下、IT企業の中で張氏の率いる「バイトダンス」が最も好調であり、特にTiktokは世界に親しまれる存在になっている。
通販サイト「拼多多」の創業者・黄崢氏が5位に入ったが、資産額は2800億元も落ち込んだ。
これまで4回首位を経験したマー氏は1327億元で14位であった。アリババの株価はここ1年余り下がる一方であり、アメリカの株は上場を果たした2014年のレベルに落ち込んだことから、マー氏のランクダウンも予想通りだった。
不動産大手「ワンダー」の創業者である王健林氏は復活の勢いを示し、1322億で16位、不動産業界では2番目だった。体制チェンジにより経営困難から脱却し、いい兆しを見せている。
一方で、債務危機にあえぐ同じ不動産の恒大は立ち直りを果たせず、創業者の許家印氏は1292億元から131億元に、順位も27位から361位に転落した。かつてトップも経験した許氏が来年も500位以内に残れるかは、復活の望みをかけた自動車製造業務の出来次第である。
(中国経済新聞 土屋大輝)