京東、サウジの電力会社と提携合意

2024/06/8 07:30

中国の電子商取引(EC)大手「京東集団」は6月3日、サウジアラビア電力会社(SEC)とパートナー関係を築き、スマート倉庫やデジタルサプライチェーンの整備などで提携することで合意した。自社のサプライチェーンや技術面の強みを生かしてSECの数十か所の倉庫を自動化し、中東や北アフリカの物流効率の引き上げやコストダウンを後押しする。

SECは、中東と北アフリカで発電・送電・売電を手掛ける地域最大手の電力会社で、サウジアラビアの主な電力源となっている。一方で京東はかなり前から中東市場を開拓しており、2020年にはUAEドバイのジェベル アリ港に自社倉庫を建設し、その後ドバイで2か所目の倉庫も造り、アジア・アフリカ・ヨーロッパの3大陸にまたがるサプライチェーンを形成している。

今回の提携では、京東グループの物流子会社「京東物流」がSEC向けにスマート倉庫のハード面とソフト面の統合整備やスマート物流拠点の構築を行う。デジタル化サプライチェーンの運用やマネジメント力を生かし、SECの物流の一括制御や管理レベルを引き上げた上、スマート倉庫管理システムや予測注文システムなどの構築もにらみ、中国全土にわたる倉庫輸送網の形成を後押しし貨物輸送の効率化をはかる。

京東物流はまた、スマートサプライチェーンの制御システムを生かしてリアルタイム可視化やトラブル予測管理も行い、運営効率を全面的に格上げしSECのトータルコスト削減や管理全般の改善を支える。さらに、現地の倉庫ネットワークや実行力をベースとし、SECや関連会社に対し原材料、半製品、製品などの保管や配達サービスも行う。

京東物流のテクノロジー事業責任者はSECとの提携について、「京東のサプライチェーン統合サービスの新たな節目になり、デジタル化サプライチェーンのコスト減・効率増に対する国内外での評価の結果だ」と述べている。

SECの技術サービス部執行副総裁であるKhalid AlGhamdi氏は、「京東は物流ソリューションの経験が豊富であり、両者で物流の効率化やトータル運営コストの削減に努め、中東や北アフリカで近代的物流体系を築き、実行の質を全面的に引き上げてコスト減・効率増を果たす」と述べている。

京東はここ数年、世界的なサプライチェーンを築いており、海外倉庫、保税倉庫、直送倉庫を合わせて90か所近く所有するなど、豊富な国際輸送資源を抱え、国内外で商品の輸送効率の向上に努めている。今年の通販セール「618」では、全世界で直送品の件数が大幅に増え、開始から4時間の件数は前年より200%以上伸びた。京東物流は「特快」や「標快」など国際宅配サービスをさらに拡充させる策を打ち出し、世界にまたがる効率的物流ネットワークをバックにスピードも質もあるものを提供していく。

(中国経済新聞)