2023年に新興自動車メーカーとして初の黒字化を実現した理想汽車が、今年第1四半期には営業赤字を計上した。
理想汽車が5月20日に発表した決算報告によると、今年第1四半期の営業利益は-5.8億元(約-125億円)で、利益率は-2.3%であった。去年の第4四半期は営業利益30億元(約648億円)、利益率は7.3%であり、業績が大幅に悪化している。また現預金は2023年末の1036.7億元(約2.24兆円)からこの3月末には989億元(約2.14兆円)まで下降している。
第1四半期の営業収入は256億元(約5528億円)で、前年同期比36.4%増、2023年第4四半期より38.6%減であった。また純利益は前年同期比36.7%減、前期比89.7%減の5.9億元(約127億円)、研究開発費は30億元(約648億円)で、前年同期の9億元(約410億円)より64.6%増えている。
営業収入の中心である車の販売収入を見ると、第1四半期は前年同期比32.3%増、前期比39.9%減の243億元(約5247億円)であった。前期より減った理由について理想汽車は、「春節休みという季節要因、および3月の受注が予想以下で納入台数が減ったこと」を理由に挙げている。
理想汽車の2024年第1四半期の納入台数は、公式発表で前年比52.9%増の8.0万台であった。この前の2023年決算報告電話会議では10万台~10.3万台との予想であったが、その直後に下方修正されていた。
競争の激しい自動車市場で、販売中の車種について末端価格を改定した上、今年3月に発表した初のEVタイプのMPV「MEGA」の売れ行きが思わしくなかった。これを受けて各車種を値下げした一方、組織構成などの見直しを進めた。
理想汽車は最近、全社員の18%以上という大幅な人員削減をすると伝えられた。2023年の決算報告によると、社員数は前年より63%近く増えて3.16万人となっており、計算上は5600人以上が削減対象となる。
理想汽車は現在、「MEGA」のほか、いずれもレンジエクステンダー型の「L6」「L7」「L8」「L9」の計5車種を擁しており、計画では今年後半に電動SUVを3車種発表するとしていた。ただしCEOの李想氏は第1四半期の決算報告電話会議で、「今年は電動SUVは発表しない。来年前半に延期する」と述べている。
理想汽車は今年第2四半期について、営業収入を299億元(約6456億円)~314億元(約6780億円)、納入台数を10.5万~11万台と見込んでいる。
(中国経済新聞)