中国の日系企業、投資意欲が向上、中国日本商会「日系企業が中国経済を強く支えている」

2024/05/20 07:30

中国日本商会は5月14日、北京で、会員企業を対象とした第3回景気·事業環境認識アンケートの結果を発表した。有効回答数1741件のうち、2024年に投資を「増やす」または「維持する」と答えた割合は56%で、中国への投資意欲が高まっていることが分かった。

中国日本商会の本間哲朗会長は発表会で、「やむなく投資を減らす企業もあるが、それでも前向きな姿勢を維持しており、研究開発や人材育成の投資は行う予定」と指摘した。多くの現地日本企業が中国市場に進出して20~30年になるが、依然として中国を重要な市場と見て、各自の地位と収益の確保に向けて新たな策を講じていると強調している。

本間会長によると、中国には日系企業は合わせて31300社あり、2位のタイの5800社を大きく上回っている上、2位~10位の企業数を合わせても日系企業の数には及ばない。「現地の日系企業は中国経済を強く支えている」と指摘した。

今回のアンケートは、今年3月中旬から4月中旬にかけて行われた。第1四半期は日系企業の売上高が幾分低下したが、投資額を「増やす」と答えた企業数は前の四半期より1ポイント増、「維持する」が同じく2ポイント増え、これらの合計数は56%以上となっている。

本間会長によると、今回の景気判断に関する調査結果は春節など季節要因も受けているが、中国は製造業購買担当者景気指数(PMI)が50以上といった好材料もあり、企業の投資意欲を動かしている。こうした意欲は中国の経済環境と市場の変化の両方の影響を受けており、日本企業は特に研究開発について投資を続けなければならないと見ている。

アンケートによると、回答者のうち中国を「最も重要な市場」または「3つの重要な市場の一つ」と見ている割合は前の3か月より1ポイント増えて52%、また「中国でのみ事業を展開している」が7%であった。中国のビジネス環境に対する評価については、「非常に満足している」と「満足している」が前回を3ポイント上回り57%であった。

去年のアンケートでは、「地域的な包括的経済連携協定」(RCEP)を利用する現地企業が増えていることが分かった。本間会長はRCEPについて、「アジアの生産基地の改善について役割を発揮しており、パナソニックのように生産を徐々に中国に集中させる動きが出ている」と述べた。ただし人件費の高騰で、中国以外のアジアにシフトする動きもあるという。

アンケートによると、「人件費の上昇」を主な経営課題と見ている企業が、前の3か月より2%増えて67%であった。本間会長は、「人件費は増えているが、人口の母数や人材の厚さ、安価な設備や原材料といった点で、中国はやはりサプライチェーンの重要拠点となっている」と見ている。中国で販売する製品は現地で生産する企業が多く、パナソニックは最近で中国に生産や開発拠点を新たに18か所建設しており、他社も同じような行動をとっていると指摘している。

(中国経済新聞)