理想汽車の「L9」が追突事故 広告看板の車を本物と見間違え

2024/05/17 11:30

湖北省襄陽で、新エネ車メーカー「理想汽車」(Li Auto)の「L9 Pro」が運転補助機能を起動して高速道路を走行していた際、広告看板に書かれた小型トラックの絵を検知して急ブレーキが作動し、後方の車に追突されたとSNSに掲載された。警察はこの事故について、「L9 Pro」の運転手に全責任ありと判断した。

「L9 Pro」は、NOAと同様の運転支援システムの一種である「AD Pro」を搭載しており、高速道路での安全で快適な走行を実現している。車にはまた、監視カメラ10台、超音波レーダー12本、ミリ波レーダーが備わっている。理想汽車は今年、北京モーターショーで、スマート運転機能の「AD Pro」、「AD Max」の全面的な改良を発表した。「AD Pro 3.0」は5月に初のOTA 5.2の搭載により、1000キロメートルにわたって対応可能な高速NOA、信号待ち対応機能のある都市型LCC、入り組んだ駐車場でのオートパーキング機能が備わった。

理想汽車は、今回の事故の分析結果として、「前方の広告看板のトラックを誤認して急激な減速をしたことによるものだ。運転支援システムには確かに限界がある」とし、運転者に対して補償金4000元(約86000円)を支払うと表明した。ただし運転者は、本人の運転ミスではなく車の問題であると見て、理想汽車に対し2万元(約43万円)の賠償金を求めている。

理想汽車については2023年5月、四川省で、80km/hで通常に走行していた「L7」が20km/hまで急激なスピードダウンしたとの事例もある。運転手によると、「道路上に特に障害物もなく、走ろうとしている人が描かれた広告看板があった」とのことである。この件で理想汽車に問い合わせたところ、「システム上で、広告に書かれた人を、本物の人間が道路の真ん中にいるものと誤認し、急ブレーキがかかった」との公式回答であった。また、小鵬(Xiaopeng)、蔚来(NIO)、ファーウェイの「問界」、テスラも、過去に運転補助機能の不備による事故を起こしている。

ある自動運転の専門家によると、「現在の運転補助機能は監視カメラやミリ波で検知するものが多いが、監視カメラは空と似た色の物体が見分けにくいなど識別度が低く、ミリ波レーダーは識別度は高いが止まっている物はよくわからず、またビニールや布などでできた物が正しく見分けられない」とのことである。現状では、運転補助機能は急速に進歩しているが完成度はまだまだという。

この専門家はまた、「メーカー側は運転補助機能をPRする際、良さばかりを強調してしまいがちであり、機能をむやみに信じ込む人もいる。納入する時には利用する場面や利用時の危険性を十分に教えるべきだ」とも述べている。

(中国経済新聞)