中国外務省、バイデン政権による中国製EVなどへの追加関税に反応

2024/05/16 11:00

アメリカ・ホワイトハウスは2024年5月14日、中国から輸入される180億ドル(約2.81兆円)分の製品に対する追加関税措置を発表した。品目別に見ると、電気自動車(EV)は現在の25%から100%へ、ソーラーパネルは同じく2倍の50%へ、鉄鋼やアルミ製品の一部が7.5%から25%へ、EV用のリチウムイオン電池および一般のリチウム電池は2倍となる。さらに2025年には半導体を今の25%から50%に引き上げる。

また、中国製の医療用針や注射器、船舶対陸上クレーン、医療用のゴム手袋、呼吸器、マスクなどにも追加関税を課す予定である。アメリカの製造業の雇用を守り、EV、電池、医療機器、鉄鋼・アルミ、半導体、ソーラーパネルなどについて、中国品が大量に流れ込むことによるアメリカの弱体化を防ぐことが狙いという。

これについて、中国外務省の汪文斌報道官は記者会見で、「世界貿易機関(WTO)のルールに違反した一方的な追加関税には断固反対し、あらゆる必要な措置を講じて自国の権益を守る」と述べた。また、北京の大成法律事務所のシニアパートナーである孫磊氏は、「WTOの最恵国待遇の原則や関税削減の約束に違反の疑いがある」と指摘している。

ホワイトハウス国家経済会議委員長のブレイナード氏(Lael Brainard)は、「追加関税の目的はバイデン政権の立法措置(インフレ削减法CHIPS・科学法、インフラ法など)で生み出された製造業の雇用が中国品の大量な輸入で『弱体化』しないようにするためであり、対象分野はEV、電池、主な医療機器、鉄鋼・アルミ、半導体、ソーラーパネルである」と述べた。

今回の措置の実質的な目的は、市場の細分化を抑えるためというより、今後の輸入増を阻止するためである。アメリカでは現在、中国製の鉄鋼やアルミ、自動車の流通はごくわずかである。

アメリカ戦略国際問題研究所(CSIS)は、「現在、ソーラーパネルの80%以上は生産コストがアメリカより60%低い中国で生産されている」と指摘している。

孫氏はまた、「中国製のEVは今、アメリカではシェアが少ないので、今回の追加関税措置は当面の影響は少ない」と述べる。アメリカの見方は、今干涉しなければ中国製EVのシェアが高まってしまい、サプライチェーンの中国依存が固まってから干涉するとさらに費用がかかるというものである。

孫氏は、「中国製EVへの追加関税は、まずはテスラなど中国で工場を構えるメーカーに影響が生じる。これらの企業は生産や販売への取り組みを見直す必要が出てくるだろう」と述べる。また、今回の措置で鉄鋼やアルミ、エンジン技術、リチウム電池など自動車の産業チェーン全体に影響が生じるという。

(中国経済新聞)