習主席がバリ訪問、仏政府は特級歓待

2024/05/7 08:30

フランス共和国のマクロン大統領、セルビア共和国のブチッチ大統領、ハンガリーのシュヨク大統領とオルバーン首相の招待を受けて、習近平国家主席は5月5日から10日にかけて、上記3ヶ国を国賓訪問する。習主席の欧州単独訪問はイタリア・モナコ・フランス3カ国を訪問した2019年3月以来およそ5年ぶり。

現地時間5日午後、習近平国家主席と彭夫人はフランスのパリ=オルリー空港に到着し、書面で談話を発表した。

習主席は「中仏国交樹立60周年にあたり、フランスを再び訪問し、ことのほか親しみを感じている。この機会を借りて、中国政府と中国国民を代表して、フランス政府とフランス国民に心からの挨拶と祝福を申し上げる」と表明。

「近年、中仏関係は高水準の発展を維持し、航空、宇宙、原子力、農業・食品、グリーンなどの分野で絶えず新たな成果を挙げてきた。両国は気候変動対策、生物多様性保全、グローバル・ガバナンスの整備などの面で緊密に協調・協力してきた。中仏文化観光年の各イベントが現在、全面的に実施されている。中仏関係の発展は両国民に幸福をもたらしただけでなく、激動する不安定な世界に安定性とプラスのエネルギーをもたらしてきた」と指摘した。

習主席は「訪問中、私はマクロン大統領と新たな情勢下の中仏関係、中国EU関係の発展、及び現在の重大な国際・地域問題について踏み込んだ意見交換を行う。今回の訪問を通じて、両国の伝統的な友好関係を強固なものとし、政治的相互信頼を増進し、戦略的共通認識を形成し、各分野の交流や協力を深め、中仏関係のさらに素晴らしい未来を創造し、世界の平和・安定・発展に新たな貢献を果たすことを希望する」とした。

また、習主席は、仏のフィガロ紙で『中仏国交樹立の精神を伝承し、世界の平和と発展を共に推進する』と題した署名入りの文章も発表した。

習主席は文章の中で、両国の経済交流について、「中国は、より良い暮らしを求める中国人民の日増しに高まるニーズを満たすために、より多くの質の高い仏産の農産物や化粧品が中国市場に参入することを歓迎し、また、フランスを含む世界各国の企業が中国に赴き、投資や事業の発展を進めることを歓迎する。中国は、すでに製造業の参入を全面的に自由化しており、電気通信、医療などサービス業の参入緩和を加速させる。また、フランスなど多くの国の一般市民に15日間のビザ免除政策を実施し、外国人観光客が中国での旅行や支払いを容易にするための新たな措置を策定した。中国の対外開放には、企業の海外進出による協力の展開を奨励することも含まれている」と紹介した。

ウクライナ情勢については、「中国は、ウクライナ危機の製造者でもなければ、当事者でも参加者でもないが、われわれは危機の平和的解決の推進に建設的な役割を果たしている。中国は欧州大陸が一日も早く平和と安定を取り戻すことを期待しており、フランスを含む国際社会と共に、危機解決への合理的な道筋を見いだしていきたい」との考えを示した。

写真説明:習主席は6日、パリにある大統領府でマクロン大統領と会談し、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対して、武器の販売を控えることを約束しました。

マクロン仏政権は習主席を手厚く迎え、対中接近を図る独自外交を展開している。マクロン氏は大統領府での夕食会で習氏を盛大にもてなすほか、自身が祖母と幼少期を過ごした仏南西部ピレネー山脈の景勝地にも習氏を招待する。マクロン氏には、中国との貿易や投資を拡大させ、国内経済の活性化につなげたい意図がある。中国はこれまでも、仏農産品の輸入や欧州航空機最大手エアバス機の発注を積極的に行ってきた。今回の中仏首脳会談に合わせ、習主席はエアバス機の追加発注を表明する可能性がある。

長期化しているウクライナ侵略戦争についても、プーチン露大統領に近い習主席の協力を取り付け、終結に道筋をつけられれば外交成果となる。

岸田文雄首相が2日にパリでマクロン氏と会談した直後に中仏首脳の親交を誇示することで、対中包囲網を強める日米欧の連携にくさびを打ちたい考え。

(中国経済新聞)