中国商務省は、オーストラリア産のワインに対するアンチダンピング税と補助金相殺税を2024年3月29日に撤廃すると発表した。2020年からかけられていた高額の関税がなくなり、オーストラリア産のワインが再び大量に中国に運ばれることになる。
中国では元々、非関税で輸送コストも安価だったオーストラリア産のワインがかなり流通していた。2019年に関税が撤廃された際に輸入は数量、金額ともにピークとなり、フランスを抜いて最大の輸入元となった。ところが2020年、ダンピングおよび補助金に対する調査の結果として、それぞれ116.2%および218.4%という高額の税をかけ始めたことで、市場シェアも輸入量も急降下した。
オーストラリア産ワインはそれまでは、関税も安く距離的にも近くて輸送コストも安かったので中国では大きなメリットがあった。それが高額なアンチダンピング税と補助金相殺税により輸入コスト増大を招き、中国でのシェアが一気に減った。オーストラリアのブドウ・ワイン協会によると、この影響で中国向けワイン輸出会社の数がそれまでの2382社から115社に急減したという。
しかし今回の税撤廃で、以前の好調が戻りそうだとの話題で持ち切りである。業界内では歓迎の意向を示す声が高く、これまで何年も不振だった中国でのワイン消費量が増えていくものと見られている。南オーストラリア州で行われたワインフォーラムで、専門家が輸入ワインにかなりの影響が及ぶと指摘しており、マーケット展開やブランド形成、プロモーションにおける現地のワインの強さを改めて強調している。
ただその一方、市場が回復し始めた中国にオーストラリア品が大量に流れ込んで価格ダウンの波が押し寄せる、と懸念感を示す声もある。中国では2023年、ワインは生産量、売上高ともに前年増となったが、輸入が増加えてこれに水が差される可能性も出てくる。
(中国経済新聞)