「フィナンシャルタイムズ」によると、中国の電子商取引アプリ「小紅書」(シャオホンシュー、レッドアプリ)は2023年、売上高が前年の20億ドル(約3029億円)から85%増えて37億ドル(約5603億円)に、また損益は前年の赤字2億ドル(約303億円)から純利益5億ドル(約757億円)と、初の黒字化を果たした。広告や通販事業の売上増が成長の主な理由である。また月間アクティブユーザー数は前年比20%増の 3.12億人となり、中国のSNSで最速の成長を示した。
ただし小紅書は、今後の事業方針や上場への道のりはまだ不透明である。2024年後半に香港で上場する見込みとの情報もあるが、会社側は「その予定はない」と答えている。充実した検索機能や「種植え」機能で知られる小紅書は、生活関連の検索アプリとしては中国で一番の存在となった。「2024小紅書検索普及白書」によると、月間アクティブユーザーのうち70%が検索をしており、そのうち88%がアクティブ検索である。
ただし小紅書は、ユーザー層が偏っていること、またあまり購入に結び付かないといった課題を抱えている。ユーザーは女性の割合が70%、30歳以下が50%であり、商品を発見したり検索したりする人は多いが、購入は他のアプリに流れてしまっている。2023年末はタオバオなど通販サイトへのジャンプ機能を再開させたほか、最近はコンテンツからWechatミニアプリにジャンプできる形をとっている。
小紅書はマーケティングについて、CCTVの年越し特番を通じてPRや商品セールスを展開したが、情報提供会社の「アルファ工場」によると、社内での評判は芳しくなかった。ある管理職は、「コントでの広告は評価しにくい。『広告が強引だったから人気が出ただけで、会社側は不満だったろう』と感じた視聴者が多かった」と述べている。番組に対し、「広告の合間にコント」などという見方も随分と話題になった。また、番組放映中における小紅書へのDAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)の最大値は1.32億人と予想されていたが、実際には1.26億人にとどまり、その後急落した。男性ユーザーが増えなかったためとの見方も出ている。ただ、これについて小紅書は「事実無根」と表明している。
小紅書はまた、コンテンツのセキュリティー問題も抱えている。あるブロガーが、軍事エリアで禁止の看板を無視して撮影行為をした上、真似を誘うような行動をとったことが問題視され、SNSでも随分と批判の声が上がった。
(中国経済新聞)