中国西北部の甘粛省で2700年の歴史を誇る古都の天水が今、激辛鍋がネットインフルエンサーに評価されたことで、人気の観光地になった。国営テレビのCCTVによると、3月16日夕方の時点で、この話題に関する主なビデオアプリでの再生数がのべ32億回以上となっている。
界面新聞によると、天水は旅行サイト「同城旅行」でのこの1週間の検索数が186%上昇したほか、CCTVでは、同じく旅行サイト「トリップドットコム」のデータとして、3月(3/1-3/16)の旅行や宿泊の予約数が去年の同じ時期より4-6割以上増えたと報道した。予約の半数が省外からのものという。激辛鍋を食べるのに待ち時間が2時間とのことである。
グルメに端を発して旅行者が急増。甘粛省は激辛鍋で一気に名を馳せている。
超人気の「甘粛省激辛鍋」により、具材として欠かせない極太春雨など良質の農産物の売れ行きも好調そのものである。同省定西市では春雨の製造会社が連日にわたり生産や注文に追われ、中国各地に続々と商品が出荷されている。
定西市安定区巉口村のある春雨の製造会社は、ここ数日フル生産が続いており、計量そして包装、箱詰めを経た春雨が中国各地に発送されている。この会社は3月10日以降、現場の体験館も通販サイトもひっきりなしに注文を受け付け、売上が大幅増となっている。
同じく定西市内にあるでんぷん製造会社の陳維霞総経理は、「オンラインと現場合わせて1日50トン以上の春雨を中国各地に出荷している。全国からの注文に応えようと、残業対応で作っている」と話す。
また、別のある春雨メーカーも残業対応で生産しており、1日10時間以上稼働しているがそれでも追いつかない状態だという。原料はみな地物のジャガイモから作られたでんぷんであり、定西市は日照時間に恵まれ、昼夜の温度差も大きいので、春雨には最適なジャガイモが出来上がる。地元ではこのような利点を生かして新たな技術の導入を進めており、ジャガイモを軸とした春雨の製造業を拡大させようとしている。同市は2023年、春雨の製造会社が計120社まで増え、年産量は20万トン以上で売上高は30億元(628億円)以上となっている。
(中国経済新聞)