梁氏によると、SMCIはエヌヴィディアの本社まで車で15分程度の距離であり、提携をするにはすこぶる便利な条件だと言う。「両社のエンジニアスタッフがじかに向き合い、朝から晩までがっちり連携している」とのことである。

業界のリーダーやアナリストは、「SMCIがAIサーバーでトップの座についているわけは、製造能力が優れていること、さらには独自の電子『積み木』モデルによる」と見ている。「積み木」とは、自在なコンビネーションで各種スペックのサーバーを作り上げることで、ユーザーの要望にほぼ応えることができる。他社のラインナップはそこまで充実していない。

また、AIブームで生み出された柔軟性がSMCIの大きな強みであるとも見られている。車の自動運転を手掛ける会社とChatGPTなど言語の生成AIを手掛ける会社では、必要とするサーバーのスペックが大きく異なるが、SMCIは個別のインフラを提供し、込み入ったニーズにも対応することができる。

梁氏は今、生産や効率のさらなる格上げを目指し、アメリカのサンノゼ、台湾、マレーシアで生産ラインの拡大を進めている。目標は、今年半ばまでにサーバーラックの生産台数を月間5000台とすることであり、これらをつなぎ合わせると高さ1.8メートル、長さ3200メートルのコンピューターインフラが出来上がる。

梁氏は、これらの製造設備のうち50%以上がAIサーバーの生産に使われると述べた。また、製造業が発展することでSMCIの年間売上高は250億ドル以上に達する可能性もあるという。

また、AIプロセッサーの普及が進んでいることもSMCI にとって強力な追い風となる。半導体メーカー・AMDの予測では、2027年までにAIアクセレレーターの市場規模は4000億ドルに達するという。すなわち、今後数年間はサーバーの需要が増え続けることになる。

SMCIの最新の四半期決算を見ると、全売上高は37億ドル弱で、そのうちAI用のサーバーの割合が半分以上を占めている。他社を見ると、同類のサーバーの出荷額はデルが8億ドル、HPEが4億ドル余りである。

SMCIは今、市場シェアをさらに拡げるためAI　にかなり力を入れているほか、次々と新たなサーバーを発表している。また新規顧客の開拓へ値段も下げている。最高財務責任者であるDavid Weigand氏は、決算発表の電話会議で「マーケットシェアを奪うため、好機をとらえ、価格面で競争力をつける」と述べている。

（中国経済新聞）