ランセットの研究結果:中国の都市部在住者は27%がピロリ菌に感染

2024/03/14 13:00

最新の研究によると、中国の都市部で、ピロリ菌(HP)の平均感染率は全人口における概算値の44.2%より大幅に低い27.08%であることが分かった。ただし、よく利用される抗生物質の「クラリスロマイシン」と「レボフロキサシン」の耐性率がおよそ50%であるとも指摘された。これは広東省人民医院の検査科主任である顧兵教授のチームと、ノーベル医学生理受賞者のバリー・マーシャル氏の共同研究の結果として、「ランセット-微生物」で発表されている。

消化器官の様々な疾病と深い関わりのあるHPの感染で、薬の耐性率が治療効果を著しく落としている。この研究は、2023年3月~11月に中国の26の省、52の都市で12902人を対象に、カプセルサンプリング法とqPCR法を併用した形でHP感染と治療薬の耐性を検査した。耐性率は低感染率を除くとクラリスロマイシンが50.83%、レボフロキサシンが47.17%に達した。

研究者はこのような数値について、消化性潰瘍や胃がんなど深刻な事態を招くとして強い懸念感を示した。顧教授は、「抗生物質の不適切な服用や飲みすぎが原因ではないか」と指摘している。またマーシャル氏は、「抗生物質の耐性率は重要である。こうした結果から、無駄な治療による時間や資源の無駄遣いが避けられ、患者に合った治療方法の案内につながる」と強調している。

また更なる分析で、中国ではHP感染率や耐性率に地域差があることも分かった。感染率が最も高いのは華東で、耐性率が悪いのは東北部である。また、男女別では男性の方が感染しやすいが、耐性率は女性の方が悪い。

(中国経済新聞)