3月5日に行われた第14回全国人民代表者大会第二次会議で、国務院の李強総理が政府活動報告をし、今年の経済に関する目標として、「国内総生産(GDP)成長率5%前後」「都市部新規就業者数1200万人以上、都市部失業率5.5%前後」「消費者物価指数(CPI)上昇率3%前後」「住民所得の伸び率を経済成長率と同程度で維持する」「国際収支は基本的に均衡を保つ」「食糧生産量6億5000万トン以上」「GDP当たりの総エネルギー消費量を2.5%前後削減し、生態環境の質を持続的に改善する」と発表した。
これらの目標について李強総理は、「国内外の情勢や様々な要素を全面的に考慮したものであり、需要と可能性のバランスをとったもの」と強調した。また、「目標を達成するには、政策が力を発揮し、活動に一段と力を入れ、各方面の協力が必要だ」と指摘した。また報告では2023年の中国経済について「GDP成長率は5.2%で、質の高い発展で顕著な成果を果たした」とまとめられた。
李強総理は2024年について、「中国経済は好機とリスクや課題が存在しているが、不利な要素より有利な条件の方が勝る。長期的に経済が好転するという基本線は変わらない」と指摘した。このため経済成長の目標は5%前後で維持し、期待を持たせて雇用を促進し、リスクを防ぐとのことである。
不動産会社「ジョーンズ・ラング・ラサール」の大中華圏チーフエコノミストである厖溟(Mang Ming)氏は、「高すぎる目標がはらむ『拙速』のリスクを防ぐなら、低すぎる目標による『失速』の危機回避にことのほか努めるべき」と述べる。第14次5か年計画の目標「2035年のGDPを2020年の倍とする」を果たし、過去最高数の大卒生に対して新たな雇用を生むこととし、2024年のGDP成長率は 5%前後が適切という。
また、粤开証券のチーフエコノミスト、羅志恒氏は、「2024年の成長率目標は2023年並み、つまり5%前後とする必要がある」と述べる。ある程度の成長がないと実体経済が落ち込み、資本市場が振るわず、世の中がいら立ってスパイラルに陥り、経済も金融も社会も安定せず、活性化しなくなるという。
羅氏はまた、「2024年はコロナ規制緩和から2年目で、傷跡も徐々に消え、需要が拡大し、供給の縛りも緩んで、市場に期待感が生まれ、地方政府が活気づき、「勘所」である不動産が安定化すれば、成長率5%も望める」と述べる。経済のサイクルから見て在庫もほぼ低迷を脱すると見られ、在庫減らしから積み増しに変わって経済成長につながるという。
(中国経済新聞)