「長安汽車が高合汽車を買収」について

2024/03/4 20:30

2月27日、中国の超高級EVメーカー「高合汽車」(HiPhi)の創業者である丁磊(Ding Lei)氏が、スタッフとともに国営自動車メーカー「長安汽車」の本社を訪れ、朱華栄(Zhu Huarong)会長と会談した。

「長安汽車」のCEO朱華栄

また一方、長安汽車が高合汽車の株式51%を取得することで話がまとまり、「高合汽車はこれにより青島とサウジアラビアで活動資金が揃う」とのうわさが流れた。ただ、長安汽車の朱会長はこれに対し、「『成立』には程遠い」と答えている。

高合は2023年10月にSNSで、社員の情報として、「会社発足以来の大規模な人員削減が行われ、全体の20%、一部の部署では50%カットされる」などといった情報が出ていた。会社側はこれに対して、「情報はデマで、通常の人員調整だ」と答えていた。

しかし高合は2024年になって操業停止やリストラ、賃金カットなどとの情報が相次いでいる。それでも会社側は「経営はすべて順調であり、開発、生産、営業、引き渡しなど通常通り遂行している。デマを信じないでほしい」と強調していた。ところが2月18日、社内で、「6か月間稼働を停止し、一定数の社員を解雇する」と正式発表された。

丁氏は2月22日に上海の本社に現れ、再編や提携などの打開策を求めていると語った。「これからの3か月は試練の時だ。立て直しに要する時間は長くて3か月だ。この3か月間にあらゆる努力をして立ち直りを目指す。もし失敗したらもう終わりだ。最後まで頑張る」と述べた。さらに丁氏は「現在、かなりの会社が興味を示してくれているので、買収または投資という結果を求めたい」と言った。

また、高合でエンジニア部門のリーダーを務める楊悦卿(Yang Yue Qing)氏は会社のライブ配信で、「大切な資金でこれからの事業を確保するため、すでに社員の給与を最低レベルに抑えた上、社会保険や積立金などの福利面も廃止した」と述べた。社員の多くは2000元余りの基本給しか受け取っていないが、それでも通常勤務しているという。

高合汽車は、自動車界のベテランだった丁氏が2017年に発足した「華人運通」が運営母体であり、その際に高級車市場に狙いを定め、「高級EVのトップ」と位置づけ、値段も「トップ」クラスにしたとのことである。

高合は発足以来、資金不足などといった話は少なかった。公開情報によると、2021年11月にある銀行から50億元(約1043億円)の資金を獲得し、2023年は6月にサウジアラビア投資省と、11月にサウジアラビアの政府系ファンドである公的投資基金(PIF)などと事業提携をする、との情報も流れたが、数十億ドルという契約金が未入金である。

また丁氏は、高合を設立した当初、「華人運通はアメリカ資本の会社で、政府の投資も受けており、当面は特定の投資家から資金を集める予定はなく、A、B、C、Dラウンドの融資もない」と明言していた。

高級車市場を狙っている高合が経営困難に陥ったのは、販売台数の落ち込みが主因である。公開データによると、2021年は4237台、2022年は4349台、2023年は8681台で、新興EVメーカーに完全に水をあけられている。

(中国経済新聞)