中国の航空業は4年連続で赤字となった。2023年は業界全体で288億元(約6021億円)の赤字を計上、うち航空会社の分が170億元(約3554億円)であった。国際線を中心に乗客の数がコロナ禍前まで回復していないことが原因である。2023年の赤字額はそれ以前の年より少なかったが、業界はやはり厳しい状態に置かれている。
航空業界は2020年からコロナの影響を受け始め、運行本数も搭乗率も大幅に減った。各国が渡航禁止措置を講じて国際線の便数が急減した。2020年の利用者数は2019年より36.7%減り、1989年以来の前年割れとなった。2021年は幾分増えたが、2022年はのべ3.2億人だった2012年を大幅に下回る2.5億人であった。
業界はまた、供給過多という問題も抱えている。2023年、中国は機体の総数がコロナ禍前より368架増えて4013機となったが、乗客が元に戻らず、機体の1日の利用率や搭乗率がコロナ禍前のレベルに戻らなかった。国内の航空会社の機体利用率は2019年より1.2時間少ない平均8.1時間で、平均搭乗率は2019年より5ポイント低く77.9%であった。
長引く赤字で業界はより深い問題が浮き彫りになっている。コロナに見舞われた3年間、業界全体で累積赤字額が4000億元(約8.36兆円)以上となり、それまでの10年間の利益がかき消された。需給の不均衡や過剰運航、市場の回復の遅れなどで、構造の改革や改善が必須となっている様子が見えている。
コロナ規制が緩和された2023年、国内線は運航本数も乗客数も幾分回復したが、国際線の回復は予想以下であった。当局側は、2024年の国内線利用者数は2019年を上回るのべ6.3億人と予測し、国際線も急速に回復すると見ている。
今後について業界関係者は、輸送力増強は控えて市場ニーズに合わせるようにとの声が出ている。また、輸送力と市場政策を柔軟に組み合わせ、機体の構成を改善し、適切な輸送体制を講じるよう各社に勧めるべきだという。業界でも利用者のニーズに応じた形でカスタマイズした機体を造り、的確なマーケティングをすることで、市場の構造的変化に合わせ、健全で持続可能な成長を果たすことが望ましいと見ている。
(中国経済新聞)