化粧品大手ロレアル、中国の香水ブランド「観夏(to summer)」への投資を完了

2024/02/12 08:30

化粧品大手の仏ロレアルは2月9日、2018年に設立した中国の香水ブランド「観夏(to summer)」に対し行った少額の投資が、1月に完了したと発表した。

ロレアルは、投資額については明らかにしていないが、今回の投資が観夏にとって世界市場に参入する上で役に立つだろうとしている。

ロレアルが、中国の企業に投資するのは今回が初めてではない。

2023年9月、2021年に設立された中国の香水ブランドである「聞献(DOCUMENTS)」は、シリーズAラウンドでの数千万元の資金調達を完了したと発表。このラウンドは、「凱輝基金(Cathay Capital)」のベンチャーキャピタル部門である「凱輝創新基金(Cathay Innovation)」とロレアル・チャイナの初の投資によって共同資金提供された上海美次方投資有限公司が投資を主導した。

欧米の香水市場と比較すると、中国の香水市場はスタートが遅れたが、ここ数年で急速に発展している。2020年、世界の香水市場がマイナス成長であったにもかかわらず、中国の香水市場は10.6%の成長率を維持。2021年、中国の香水市場は成長率が38.7%となり、2022年には新型コロナウイルスの影響から世界の香水市場の成長が鈍化したものの、中国の香水市場の成長率は世界を上回る高成長を遂げた。

数十年の発展を経て、中国は比較的完全な香水産業を構築し、同産業の安定的な発展を支えている。香水産業の上流は主に香料、フレーバーなどの原材料の製造であり、中流は主に加工と製造。下流は主にチャネル流通であり、CSやショッピングモールなどのチャネルで消費者に販売する。

前瞻産業研究院の予測によると、2023年から2028年における中国の香水市場の年平均成長率は20%に達し、2028年には全体の規模が539億元(約1兆1185億円)を超える可能性がある。また、こうした高い成長率に加えて、十分な市場スペースがある。市場浸透率がすでに42%、50%と高いヨーロッパやアメリカとは異なり、中国では香水の市場浸透率はわずか5%。ボストン・コンサルティング・グループは、2025年までに中国が世界第2位の市場になると予測している。

ロレアルは2月9日、2023年通期業績を発表。売上高は411億8000万ユーロ(約6兆6291億円)となり、前年比7.6%増となった。地域別では、北アジアの売上高が前年同期比5.8%減と縮小。同社はこれに対して、北アジアが引き続き、代理購入に関する方針の変更によるトラベルリテール事業の調整の影響を受けたためと説明。その一方で、中国本土は5.4%の伸びを記録した。

またロレアルの発表によると、今年2月Vincent BOINAY氏は、Faberry氏の後任として、L’Oréal North Asia 社長および中国担当マネージング ディレクターに就任。また、2021年からロレアルの中国におけるプレミアム化粧品部門の責任者を務めてきたマー・シャオユー(馬暁宇)氏が、ロレアル中国の副CEOに就任した。

(中国経済新聞)