中国IT界の巨人「テンセント」が最近、国内の有名ゲームメーカー「北京網元聖唐娯楽科技」(略称「網元聖唐」)の株式を取得し、持ち株率を87.36%として筆頭株主となり、会社の意思決定に加わることになった。テンセントは現在、事業規模を縮小する段階にあるが、「古剣奇譚」など人気IPの制作元である網元聖唐との提携は一層深まることになる。
テンセントはこれまで、2020年および2か月前である2023年にも網元聖唐に出資をしている。美的感覚や文化、表現など、ゲームに関して積み重ねた経験や制作スタッフの有能性を評価していることの表れである。網元聖唐はこうした資金援助をバックに各種商品の制作に努め、「古剣奇譚四」など人気の案件の続行に役立てている。
テンセントは、網元聖唐の主要制作スタッフの独立性を維持させ、「網元」や「燭竜」など独自のブランドを存続させることを約束している。網元聖唐は、今回の取引で実質的支配者がテンセントの取締役会会長兼CEOであるポニー・マー(馬化騰)氏に変わるが、立ち上げ人である孟憲明氏が引き続きCEOとしてテンセントとともに運営管理に携わる。
テンセントと網元聖唐は、マルチなユニバーサルをベースにしたインスタント型の戦争RPGゲームである「白荊回廊」を共同制作しており、テンセント側が発行し2024年1月12日にリリースしている。このゲームはテストの段階で大変な人気を集め、1500万人以上が予約ダウンロードをした。配信初日から2日間連続でiOS無料ランキングのトップに立ち、第1週にiOS人気ランキングのベスト10に食い込んでいる。
ポニー・マー氏は最近の全社集会で、ゲーム事業について、「新世代のゲーム会社の挑戦やマーケットの変化に際し、本業に絞ってしっかりしたソフトやゲームを開発すべきだと」強調するなど、鋭いコメントを発した。今回の「網元聖唐」買収や、ゲーム「白荊回廊」の順調な売れ行きを見ると、事業方針の転換というテンセントの具体的な行動から、ゲーム業界におけるリーダーとしての地位を固めること、さらには国内産のゲームの成長を一層支えていくとの姿勢がうかがえる。
(中国経済新聞)