太平洋戦争開戦までの7日間を、各国の諜報部員が暗躍する上海を舞台に描いたスパイ映画『サタデー・フィクション』が全国で公開中だ。
本作は、ロウ・イエ監督の第11作目に当たり、2019年の第76回ベネチア国際映画コンペティション部門正式出品作で、全編モノクロ映像、映画音楽を一切使わないなど、映画の原点を突き詰めたストイックで引き込まれる作品だ。
(C)YINGFILMS 2019 オダギリジョー 中島歩
そして劇中では、中国を代表する女優コン・リーを始め、オダギリジョー、中島歩、台湾の国民的俳優マーク・チャオ、『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』のパスカル・グレゴリー、『ゲーム・オブ・スローンズ』のトム・ヴラシアなど豪華俳優陣たちが共演している。
(C)YINGFILMS 2019 コン・リー
あらすじ
1941年、日本軍の占領を免れた上海の英仏租界は、当時「孤島」と称されていた。魔都と呼ばれるこの上海では、日中欧の諜報部員が暗躍し、機密情報の行き交う緊迫したスパイ合戦が繰り広げられていた。そんな中、上海に突然、人気女優のユー・ジン(コン・リー)が現れる。「蘭心大劇場」で主演を演じるための上海訪問だとマスコミたちが大きく報道する裏で、日本海軍少佐の古谷三郎(オダギリジョー)から日本の暗号を聞き出すという「マジックミラー計画」の任務を負っていた・・。
(C)YINGFILMS 2019 トム・ヴラシア
原作には、ロウ・イエ監督とプロデューサーのマー・インリーの友人でもあるホン・インの小説『上海の死』、劇中の演劇公演には菊池寛に師事し、川端康成と共に新感覚派として大正から昭和にかけて活躍した横光利一の『上海』を採用。日本及び海外タイトルの『サタデー・フィクション』は、当時の娯楽雑誌に掲載されていた上海娯楽小説派の一つ「サタデー派の小説』から来ている。
(C)YINGFILMS 2019 マーク・チャオ
オダギリジョーが演じる古谷三郎は、本作を左右するといっても過言ではないほど、(コン・リー)の両面鏡人物像を構築する最も重要な存在。ロウ・イエ監督は、一緒に仕事ができるかまだわからない時から、オダギリを古谷役に決めていたそうだ。近年では、自身も映画監督として活躍しているオダギリジョー、多額の借金を返済するため全国各地でアルバイトをしながらも、行く先々で起こる様々なトラブルに巻き込まれるドラマ『僕の手を売ります』(FOD・Prime Videoで配信中)では主演兼プロデューサーを務めている。
(中国経済新聞)