第19回「東京―北京フォーラム」開幕 王毅外相がビデオメッセージを寄せる

2023/10/19 16:59

現在、北京で開催されている第19回「東京―北京フォーラム」は2日目を迎え、午前10時(北京時間9時)から行なわれた全体会議に中国の王毅(ワン・イー)外相がビデオメッセージを寄せた。以下、メッセージ内容。

これまでの歴史において、平和・友好・協力が、中日両国にとって唯一の正しい選択肢であることを繰り返し教えてくれています。しかし残念なことに、現在の中日関係は、とても複雑で厳しい情勢に晒されています。長きにわたって存在する問題もあれば、外部の介入がもたらした新たなチャレンジもあります。激動の世界情勢、そして岐路に立たされた中日関係を前に、私たちは平和友好条約締結45周年を契機に、初心を実行し、正しい道を歩みながら革新に臨み中日の平和・友好を繋いでいくという歴史的使命を担い、新時代の要求に相応しい中日関係の構築のため、弛まぬ努力をしなければなりません。平和友好条約を含む、中日間の4つの政治文書は両国関係の政治的土台です。双方が、これらの約束を重んじ守ってこそ両国関係は順調に発展することができます。

 現在、日本の対中認識に明らかな後退が見られます。誤って中国をかつてない最大の戦略的挑戦と位置づけています。台湾問題でも度々一線を越えて両国の政治的根幹に実質的な損害を与えています。論語には、「君子は本を務む、本立ちて而(しこうして)道生ず」という言葉があります。是非とも双方が、平和友好条約の初心に立ち返り、中国に対する認識を正しいものにし、4つの政治文章の原則を守り、重要でデリケートな問題において約束を守り、互いが協力パートナーで政治的脅威ではないという共通認識を政策に具現化し行動に移すことを望んでいます。双方は強力を拡大し、より高いレベルの互恵ウィンウィンを実現しなければいけません。

 今年は、中国の改革開放45周年でもあり、中日の経済的利益が深く融合し、互恵協力において実り多い45年でもあります。中国は質の高い発展とレベルの高い対外発展を積極的に推進しており、中日の経済貿易協力に新たなチャンスを提供することになるでしょう。同時に双方の協力が公平で開放的なものでなければいけません。経済・安保の旗印の下に、形を変えて人を傷つけたり自分の利益となるようなデッカプリングはしてはならず、経済協力を強化し互恵ウィンウィンを実現することが最も良い安全保障です。双方は意見の違いを適切に処理し、両国関係の正しい方向を見定めなければなりません。中日の社会制度、国の実情は異なります。しかし肝心なのは、誠意をもって付き合い、信頼を高め疑念を解消し、食い違いが両国関係を破綻させないようにすることです。

 海洋・領土・紛争においては、両国間の基本合意を遵守し対話を強化することで、意見の相違をコントロールしなければいけません。中国は他国の内政に干渉したことはありませんし、これからもありません。そして同時に、他国が中国の内政に干渉することも受け入れることはできません。

 日本が隣国などと十分な協議をしないまま福島の核汚染水を海へ放出したことは、公衆衛生、世界の海洋環境に脅威をもたらしているのです。中国は当然ながら懸念を表明しなければいけません。私たちとしては、内外の懸念や反対の声に真摯に対応していただきたい。そして責任ある方法で、適切に対処することを望んでいます。

 両国が友好を取り戻し、両国関係の民意の土台を改善しなければなりません。中日関係の影響により、両国の国民感情も、ここ数年低迷しており我々は、これを重視しなければいけません。そして同時に、これを改善するため努力しなければいけません。コロナの収束により、両国の人的往来も徐々に再開され、各界は中日平和友好条約締結45周年を記念するイベントを開催しています。先日、両国のアスリートたちが杭州で開かれた「アジア大会」で観客に感動の瞬間をもたらしてくれました。両国関係は芳しくないほど、我々は「民を持って官を促す」という伝統を発揚し、両国の国民、特に若い世代がより多くの対面交流を展開し、相互理解と信頼を増進させ中日関係の発展のために民意の土台を築かなければいけません。そして、それをもって中日友好の再スタートを推進していかなければいけません。双方は協力を強化し、地域の平和と安定を維持しなければなりません。

 現在、世界は100年に1度の大変革の時代を迎えています。世界的なチャレンジは日増しに顕著になっています。一部の国が、対立や分裂を煽っています。多国間主義、国際秩序に衝撃が走っています。中日は、地域と世界の重要な国としてアジアの団結と協力を守り、地域的・包括的な経済連携協定を守り、質の高いレベルで実施し、アジアの地域協力と一体化のプロセスをリードしていかなければいけません。我々は真の多国間主義を提唱し、開かれた地域主義を実践し、地域と世界にポジティブなエネルギーを注ぎ込む必要があります。

 45年前の10月、鄧小平副総理は日本を公式訪問し、平和友好条約批准書の交換式に出席しました。その時、中日友好の樹をたくましく成長させ、根を深くはらせるためには皆様が一生懸命、丹精込めて、それを守っていかなければいけませんということを話されました。先人たちの教えは、中日関係の発展に方向を指し示してくれました。どのような困難があるにせよ、常に多くの有識者の熱心な行動により、中日関係はアメリカ勢を乗り越えて、絶えず前進することができました。「東京―北京フォーラム」は、中日関係を議論し、関係を促進する上で重要な場であります。是非とも皆様が知恵を出し合い、果敢に提言し身をもって中日平和友好協力を推進し、両国関係の長期的で安定的な発展のために引き続き大きな貢献を果たしていただきたいと思います。

(中国経済新聞)