中国では今、データバンクを代表とする国産のソフトウェア産業が、周辺システムから主要システムへ、主な業種から全業種へと利用が急速に拡大している。
IDCの最新レポートによると、現在、中国関連型のデータバンク市場上位5分野のうち、中国メーカーの合計シェアは2018年の27.1%から2022年には55.4%に増え、一方で海外メーカー上位5社の合計シェアは2018年の57.3%から2022年には27.3%まで低下している。
こうした数字から、中国産のデータバンク商品に利用が一段と広まっている上、基幹業種や企業の核心システムでデータバンクが置き換えられていることがわかる。
このほか、オペレーションシステム(OS)、クラウドシステム、ミドルウェア、さらには各種PaaS商品なども含め、基本ソフトウェアの国産化が進んでいる。
現在、国内の銀行で、テンセントクラウドTDSQLはTOP 10社のうち7社、またTOP 20社の半数以上で導入されている。テンセントクラウドのデータバンクTDSQLによる分散型主要データバンクは、ある大手国有銀行で主要システム改良の際、OracleからTDSQLに切り替えたことで1億元も節約されたという。
中国製ソフトウェアは、技術力にモノを言わせて周辺システムから主要システムへ、主な業種から全業種へと利用を拡大させている。中国のデータバンクは、技術面の様々な必須項目で世界トップ級に達している。2023年3月末、TDSQLは1分当たりの取引量が8.14億8億1400万件に達成したことで、権威ある測定機関のトランザクション処理性能評議会(TPC,Transaction Processing Performance Council)でランキングトップに立った。中国のデータバンク技術の進展を裏付けるものである。
中国では今、建設銀行、中国人寿保険、中国銀聯など多くの大手金融機関や、工業富聯など大手工業各社がテンセントのクラウドでデジタル化事業を展開している。工業富聯は、テンセントTCEの企業向けクラウドソリューションをベースに、極めて短い期間で産業ITプラットフォームを築いた。これにより社内部の事業システム全体でクラウド化が進み、システムリソースの配分や仕分けの効率がよくなった上、このデジタル化の経験を業界内に発している。
「産業の真珠」とも言われるOSも力を出している。OSは作り出すのはたやすいが、様々な場面や多くの人に広めていくことは難しい。テンセントは長年の開発経験をベースに、サーバーOSもビジネスタイプの購入からTencentOS ServerOSの自社開発に到達し、かつ基幹技術を寄与して国産オープンソースのOpenCloudOSへのプロセスを築いた。
テンセントは2010年からTencentOS Serverを手掛け始めており、OSについて10年以上の技術を積み重ねている上、社内の膨大な事業での長年の検証や研鑽を経て全事業をカバーするに至った。SNS、ゲーム、代金決済、AI、セキュリティーなどの業務を通じて、安定性や安全性、互換性、性能などキャパシティー面も一段と強くなっている。
OpenCloudOSOSは現在、X86_64、ARM64、RISC-Vアーキテクチャに対応し、LoongArch、飛騰、海光、兆芯、鯤鵬などのチップを揃えている。容量は1000万ノード以上で、国産のソフト・ハードウェア900件以上、オープンソースソフトウェア30000件以上に対応可能、主なチップ、データバンク、マシンまでカバーしている。
テンセントは過去5年間、開発に2000億元以上を投入し、コンピュータ産業を軸とするITインフラの国産化体系を築き、その中でAIチップ、ネットワークDPUから自社サーバー、遨馳(Orca)分散型クラウドOS、TDSQLデータバンクまで主要な部分を徐々にカバーするようになっていった。また投資を通じて、この体系の中で新たな企業も生んでいる。
テンセントクラウドなどに代表されるデジタル知能企業が、技術力を市場の力に変え、国産の基本ソフトウェアやデジタル経済の主力になろうとしている。
(中国経済新聞)