中国の西北部はここ数年間、干ばつが深刻化している。
甘粛省は今年、全域で降水量が少なく気温が高くなっており、河西回廊や隴中では降水量が平年より2割ないし7割も少なく、干ばつが深刻で一部では今も悪化している。河西走廊では一時期、あちこちのダムで水が底をつき始め、広範囲で農作物の収量が減り、人や家畜の飲み水まで足りなくなっている地域も出た。
干ばつによる被害について、甘粛省応急管理庁のまとめでは、8月25日現在で武威、金昌、張掖など10の市(州)の31県(区、市)で90.2万人が被災し、農作物の被害面積は286.8万ムーで、うち148.6万ムーが災害級、24.3万ムーが全滅となっている。また飲み水が確保できない家畜の数が1.43万頭で、被害総額は21.45億元(約429.8億円)となっている。
甘粛省の財政庁、農業農村庁、水利庁は、農業用の防災・减災および水資源対策の予算から、急遽5000万元(約10億円)を干ばつ対策に回すことにした。
この5000万元は、被災地域の農作物の救済、および作物の植え替えや追加作付けに必要な種、化学肥料、シートほか設備の準備に1000万元(約2億円)、水害復旧工事や干ばつに対する救済用に2000万元(約4億円)、蘭州、武威、白銀、慶陽の各市で計10の県・区における農業の干ばつ救済費用に1500万元(約3億円)、蘭州、武威、白銀の各市で計5の県・区における水資源工事に500万元(約1億円)が利用される。
8月29日午前、中国天気網のアナリストである王偉躍氏は、今回の西北部の干ばつについて「降水量が少なく河川の水量が減っていること、気温が高いこと」を原因に挙げている。これらの地域の予報を見ると、今後10日間は状況が緩和するほどの雨は降らず、干ばつ状態が続く模様である。
(中国経済新聞)