ベトナムのネットユーザーから「2万元(約40万円)を払っても日本のバイクが欲しい、1万元(約20万円)でも中国のバイクは購入したくない」という声が急激に増えている。
ベトナムは国民の46%がバイクを所有する「バイク大国」で「恋人はいなくてもいいけど、バイクがない生活は想像できない」という言葉さえある。
中国企業は、1999年から本格的にベトナムのバイク市場へ参入を開始。3年足らずで市場の9割を占めるまでになり、ベトナムでの地位を確固たるものにした。中国製のバイクがシェアの大半を占める中、日本製バイクの需要が急激に減り、中国製バイクに乗り換える人が急増した。
中国企業が数年でシェアの大半を獲得した背景には、従来の日本製バイクに比べ「低価格」でバイクを販売したことにある。当時、日本製バイクは2100ドル(約29万3000円)だったが、中国製バイクは、その半分の1000~1200ドル(約13万9500円~16万7400円)で販売されていた。この低価格がベトナム人のニーズとマッチし、2002年には中国からベトナムへのバイク輸出額が3億2000万ドル(約446億4000万円)に到達、これから益々勢いが増すと見られていた。
しかし、低価格で勝負していた中国企業は、一致団結するどころか市場競争が激化。バイクの価格は170ドル(約2万3720円)まで急落し、1台あたり30ドル(約4185円)しか利益がでないような事態を招いてしまった。
中国企業が互いに矛先を向け争う中、日本企業は高い技術と耐久性を前面に出し、ベトナムでのシェア奪還に乗り出した。世界の潮流が「低価格」から「品質重視」へ変化していくのと相まって、10年乗っても修理する必要のない日本製バイクは、瞬く間にベトナム市場で息を吹き返した。それから1年足らずの間に、日本製バイクのシェア率は95%を超え、中国製バイクを一気に引き離すこととなった。
ベトナム市場で日本企業に軍配が上がった理由として、価格を下げるだけでなく、それ以上に技術や品質の向上に尽力したことが最大の要因だと考えられる。こうした日本のものづくりは、最近では最先端技術の分野でも発揮されており、価格競争ではない、高品質の製品を世に送り出している。
(中国経済新聞)